お子さんが小さい方のライフプランの相談を受ける中では、教育費無償化についてのご質問を受けることが多くあります。お子さんのいる家庭では、将来の経済的な目標の中でも教育費準備の割合が多くを占めるため、気になる話題かと思われます。
そこで今回は、教育費の支援について、現状の制度と今後の流れについて整理していきたいと思います。
教育費無償・支援制度の現状
私立小学校・中学校
以前の記事『10月からの保育無償化って本当に得するの? 無償化対象外のものは何?』では保育料無償化についてまとめましたが、小学校以降はどうなっているのでしょうか。
あまり話題にはなりませんでしたが、2017年度より「私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関する実証事業」として、対象者の授業料負担の軽減が実施されています。
これは、私立小中学校等に通う児童生徒への経済的支援に関し、年収400万円未満の世帯に属する児童生徒について、授業料負担の軽減を行いつつ、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などについて実態把握のための調査を行うことを目的とした、5年間の期限のある実証事業として文部科学省が実施しているものです。
【対象者】
2019年7月1日現在、私立の小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校(前期課程)、特別支援学校(小学部、中学部)に通っている児童生徒。
【要件】
・年収400万円未満(※)かつ資産保有額600万円以下の世帯が対象。
※父母、扶養親族が高校生未満の子供のみの世帯の目安であり、家族の状況等により異なる。
・文部科学省が実施する調査への協力。
【支援額】
最大で年額10万円(学校が代理受領し、授業料が減額)。
この事業は、どちらかというと調査が目的のため支援額としてはあまり大きくはなく、対象者も限られるので、それほど話題にならなかったといえるでしょう。
高等学校(現行制度)
2014年度より、経済的負担を軽減することにより教育の実質的な機会均等に寄与することを目的として、高等学校等就学支援金制度がスタートしています。2014年以前との違いは所得制限が設けられたことです。より負担が大きい世帯への支給を充実させるため、高所得者層への支給はカットされることになりました。
【対象者】
国立・公立・私立は問わず、高等学校(全日制、定時制、通信制含む)等に在学している方
【要件】
・日本国内に住所を有する
・保護者等(※)の市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額が50万7,000円未満である方
※原則、親権者(両親がいる場合は2名の合算額)、親権者がいない場合は扶養義務のある未成年後見人、保護者がいない場合は主たる生計維持者又は生徒本人
【モデル世帯での支援金支給額】
以下の図表は、両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の子供がいる世帯で年収約910万円未満の世帯の就学支援金支給額を示しています。
なお、私立高校については、世帯収入に応じて、月額9,900円を1.5倍~2.5倍した額が加算支給されます。
また、各都道府県において、授業料等の支援を独自に設けている場合もあります。