10月から11月にかけては、年末に向けて老後資金の見通しを立て直す方が増える時期です。「自分は将来いくら年金をもらえるのか」「今の年齢の人は実際どのくらい受け取っているのか」——こうした疑問を持ったことがある方は多いのではないでしょうか。
この記事では、公的年金の基本的な仕組みを確認したうえで、60歳から90歳以上まで、年代別の厚生年金・国民年金の平均月額を一覧で見ていきます。
なお、年代別の年金額データについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造で、2026年度は4年連続のプラス改定となった
- 厚生年金の平均月額は60歳の約10万円から90歳以上の約16万円まで、年代によって幅がある
- 国民年金の平均月額は年代を通じて5万円台〜6万円台で、厚生年金ほどの年代差はない
1. 厚生年金は「2階建て構造」|国民年金との違いを整理
公的年金は「2階建て構造」などと表現されます。これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。
1.1 《1階部分》国民年金
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
- 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2026年度月額:1万7920円)
- 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2026年度月額:7万608円)
1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
- 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
- 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の年金保険料を納めます。一方で厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料を納めるしくみです。
1.3 平均標準報酬35万円・35年加入なら、厚生年金はいくらになる?
厚生年金の報酬比例部分(年額)は、大まかに「平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数」で試算できます(2003年4月以降の本来水準の乗率)。仮に、平均標準報酬額35万円の人が、35年間(420カ月)厚生年金に加入し続けたケースを考えてみましょう。
報酬比例部分(年額) = 35万円 × 5.481/1000 × 420カ月 = 約90万5000円
月額換算:90万5000円 ÷ 12カ月 = 約7万5400円
ここに国民年金の満額(2026年度:月7万608円)を上乗せすると、合計は月14万6000円程度となり、後述する65歳の平均月額(14万9862円)に近い水準になることが分かります。あくまで一定の前提を置いた目安の試算であり、実際の受給額は加入期間や報酬水準によって変わります。正確な見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご確認ください。
2. 2026年度は4年連続の増額|年金額はいくらになった?
厚生労働省によると、2026年度の年金額の例は次のとおり決定されました。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2)
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。このように年齢により受給額が異なります。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
厚生年金の23万7279円は、夫婦の合計額です。上記の注釈があるとおり、「40年間会社員として月額45万5000円を稼いだ夫の厚生年金と国民年金」と「40年間第3号被保険者(もしくは自営業など)だった妻の国民年金」が想定されています。現代では共働き世帯や単身世帯、自営業の方などライフスタイルは多岐にわたります。この金額はあくまで一つの指標であり、実際の受給額はこれまでの加入状況によって一人ひとり大きく異なる点に留意が必要です。
ちなみに、2025年度(令和7年度)は23万2784円でした。今回で4年度連続のプラス改定となります。また国民年金の満額は、2025年度が6万9308円であり今回も増額しています。
3. 【一覧表】60歳~90歳以上、厚生年金の平均月額はいくら?
今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。はじめに厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
3.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
3.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
3.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
3.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:16万4027円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円〜16万円台でした。
4. 【一覧表】60歳~90歳以上、国民年金の平均月額はいくら?
続いて、国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
4.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
4.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
4.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
4.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表
- 90歳以上:5万5633円
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、5万円〜6万円台となっています。
5. 全年齢平均で見る、厚生年金・国民年金の男女差と分布
60歳〜90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。
5.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金では、全体の平均年金月額は15万289円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。
5.2 65歳から90歳まで、25年間の受給総額はどれくらいになる?
月額の平均だけを見ていると、老後全体でどれだけの金額を受け取ることになるのか実感が湧きにくいかもしれません。厚生年金の全体平均(15万289円)を使って、65歳から90歳までの25年間受給し続けたと仮定した場合の総額を試算してみましょう。
15万289円 × 12カ月 × 25年 = 約4508万7000円
平均額のまま25年間受け取り続けると仮定すると、生涯の受給総額はおよそ4509万円に達する計算になります。実際には年齢によって月額が変動するため単純計算ではありますが、老後資金全体を考えるうえでの一つの目安として参考にしてください。あくまで一定の前提を置いた試算であり、実際の受給期間や金額は個人によって異なります。
5.3 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。「6万円以上〜7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
6. 【監修者コメント・安達さやか】年代別の平均月額は、60歳代前半だけ中身が違う
この記事では、公的年金の2階建ての仕組みと、60歳から90歳以上までの年代別の平均月額をご紹介しました。厚生年金の平均月額は65歳で14万9862円、90歳以上で16万4027円と、年代によって幅があります。
なお、60歳代前半の数字は低めに出ています。63歳6万8758円、64歳8万3901円という水準は、特別支給の老齢厚生年金で報酬比例部分のみを受け取っている方が含まれるためです。同じ「平均月額」でも中身が異なりますので、ご自身の見込み額と比べるときは65歳以降の数字を目安にするとよいでしょう。
また、記事中の試算では、平均標準報酬額35万円で35年間加入した場合の厚生年金は月14万6000円程度で、65歳の平均14万9862円に近い水準でした。ご自身の加入期間と報酬がこの前提からどれだけ離れているかを見ておくと、平均との差がどこから生まれているのかが分かります。老後の見通しを立てるときは、平均額そのものより、この差の理由を押さえておくことが大切です。


