現在、阪神甲子園球場では「第108回全国高等学校野球選手権大会」が開催されています。
全国から49代表校が集まり、連日多くの観客が詰めかける夏の甲子園は、NHKや朝日放送テレビなどによって全国中継され、近年はインターネットでも試合を視聴できます。
これほど巨大なスポーツコンテンツなら、「放映権料だけでも莫大な収入があるのでは?」と思う人も多いでしょう。
ところが、甲子園大会を主催する日本高等学校野球連盟(高野連)の収支を見ると、意外な実態が分かります。
甲子園の放映権料は0円。高野連の収益の柱は、放映権ではなく入場料なのです。
では、甲子園では実際にどのようにお金が動いているのでしょうか。本記事では意外と知らない収益構造の内訳と経済効果について、詳しく解説していきます。
- 甲子園の「放映権料」は0円。収益の約9割は「入場料」
- 2025年は入場料を値上げ。2026年は2種類の料金を導入し、安価な観戦機会も維持
- 甲子園の絶大な地域経済への影響。ホテル・飲食店・交通・警備・清掃の雇用も増加
1. 甲子園の放映権料は「0円」 プロ野球とは異なるビジネスモデル
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まず、「放映権料0円」の詳細をみていきましょう。
高野連の決算書には、「放映権料」という収益項目がありません。
2024年度の高野連の経常収益は約16億1000万円。そのうち約14億円を占めるのが「入場料収益」です。そのほか、「協力金収益」が約6300万円となっています。
つまり、プロ野球などで見られるような、テレビ局から巨額の放映権料を受け取るビジネスモデルではありません。
特にNHKは公共放送であり、民放のように広告収入を得る仕組みではなく、高校野球の中継についても、高野連の収益として放映権料が計上されているわけではありません。
なお、放映権料が0円であっても、放送局側が中継制作に費用を負担していないという意味ではありません。
その放送にかかる費用と、高野連が受け取る放映権料は別の話だということは理解しておく必要があります。
2. 収益の中心は「入場料」 コロナ禍には弱点が露呈
では、高野連は何で大会を運営しているのでしょうか。
すでに述べていますが、高野連の収益の大部分を占めているのは、観客から受け取る「入場料」です。
2024年度の高野連の経常収益約16億1000万円のうち、入場料収益は約14億円。単純計算すると、経常収益の約9割を占めます。
この構造がよく分かるのが、新型コロナウイルス禍です。
2020年の第102回大会は中止となり、2021年の第103回大会は開催されたものの、一般観客を入れない形で実施されましたが、入場料収入がなくなったことで、運営に大きな影響がでました。
実際、高野連は大会運営費などを支えるため、クラウドファンディングを実施するなど、対策を講じましたが、テレビ中継だけでは成り立たない仕組みの弱点が露呈することになりました。
甲子園は「テレビで稼ぐ大会」ではなく、観客に球場へ足を運んでもらうことで大会運営を支える大会なのです。
3. 2025年は入場料を値上げ 子どもの観戦には配慮
近年は大会運営コストの上昇を背景に、入場料金も改定されています。
2025年の第107回大会では、主な座席の料金が2024年から次のように変更されました。
2025年の入場料体系2/4
出所:日本高等学校野球連盟
- 中央指定席:4200円→4800円
- 1・3塁指定席:3700円→3900円
- アルプス席:1400円→2000円
- 外野指定席:700円→1000円
2部制を実施する日は午前券・夕方券で分け、料金も半日分の新しい価格を設定しました。そして、従来通りのプログラムで実施する日の一日券は値上げを行いました。
一方、1・3塁指定席のこども料金は1200円から1000円に値下げ。さらに、こども料金の対象が「4歳以上小学生」から「4歳以上中学生」へ拡大されるなど、負担軽減を図っています。
単純に「甲子園のチケットを一律値上げした」というわけではないことがポイントです。大会運営に必要な収入を確保しながらも、子どもが観戦しやすい環境も維持しようとする料金設計になっています。