売上5期で約2.2倍。金属製品の分類に収まらない成長
RS Technologiesの通期売上高は、2021年12月期の346億円から2025年12月期の767億円へと、5期で約2.2倍に伸びた。半導体ウェーハの再生と製造を軸に、市場の拡大を取り込んできた歩みだ。
同社はEDINETの区分では金属製品に分類される。だが金属製品の売上成長率の中央値が年1%台であるのに対し、この5期の伸びは大きくかけ離れている。ROEも前期で12.5%と、金属製品の中央値5.4%の2倍を超える。分類のラベルと事業の実態がズレている典型例と言えるだろう。
もっとも、成長は一本調子ではない。前期は売上が3割近く伸びたにもかかわらず、当期純利益は前期比▲1.6%とわずかに減った。会社の説明によれば、プライムシリコンウェーハは中国市場での競争激化による単価低下が響いたという。数量を追う局面と、採算を守る局面が同居しているのが実像だ。
設備投資とM&Aが担う次の柱
成長を支えてきたのは、旺盛な設備投資だ。有形固定資産は2021年12月期の289億円から前期の495億円へ膨らみ、建設仮勘定も積み上がっている。ウェーハの生産能力を先んじて広げてきた投資フェーズにある。
さらに同社は、上期決算にあわせて、中国のエピタキシャルウェーハ会社の持分60%を約107億円で取得したことを開示した。会社は、エピタキシャル技術を活用した高付加価値分野を中長期の成長ドライバーに位置づけると説明している。AIやパワー半導体向けの需要拡大を見据えた布石だ。
注意したいのは、利益の帰属先だ。上期の中間純利益のうち、非支配株主に帰属する分が相応にある。海外子会社を通じた拡大は成長の源である一方、連結の利益がそのまま親会社の取り分になるわけではない点は見落とせない。
筆者コメント
この会社を金属製品というラベルで眺めると、実像を見誤りやすい。売上を5期で倍以上に伸ばし、ROEも業種の中央値を大きく上回る。中身はまぎれもなく半導体材料の成長企業だ。
一方で、成長には二つの顔がある。数量を取りに行く局面と、単価下落や競争と向き合う局面だ。前期に増収でも当期純利益がわずかに減ったのは、その両方が同時に効いた結果だと考えられる。
今回のエピタキシャルウェーハ会社の取得は、次の付加価値をどこに置くかという意思表示にみえる。ただし海外子会社を軸にした拡大は、連結の利益と親会社株主の取り分との間に差を生みやすい。規模の拡大と、株主に届く利益の伸びは、必ずしも同じ角度では進まない。
株価が上期決算後に下げた今の局面では、目先の反応に引きずられず、売上の伸び・採算・利益の帰属という三つを並べて確かめる姿勢をおすすめしたい。
参考資料
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石津 大希