3つのサービスで見える、伸びと利益の温度差

事業を3つのセグメントに分けると、力点の違いが見えてくる。

主力のソフトウェアテスト関連サービスは、売上745億円と全体を牽引した。ただ営業利益は156億円で、前年同期比3.1%減である。ここでも採用費の増加が利益を抑えた。

ソフトウェア開発関連サービスは売上359億円と伸びた一方、営業利益は17億円で19.4%減った。採用の先行投資の影響がより濃く出ている。

対照的なのが、その他近接サービスだ。売上98億円ながら営業利益は7億円と、94.7%増えた。パソコンの入れ替え需要などが追い風になったと会社は説明している。

稼ぎ頭が足踏みし、脇の事業が伸びる。全体の利益が横ばい圏にとどまった内訳が、ここに表れている。

売上高3,000億円目標に向けた歩み

SHIFTは「SHIFT3000」を掲げ、売上高3,000億円を目指している。

過去をたどると、成長の速さがわかる。2021年8月期に460億円だった売上高は、2025年8月期に1,298億円へ増えた。4期で約2.8倍、年率およそ30%の伸びである。

2026年8月期の通期予想は売上高1,600億円で、23.2%増を見込む。3Q累計の進捗率は72.4%と、計画に沿って進んでいる。

成長を支える一つがM&Aだ。3Q累計ではニッセイコムを連結に加え、のれんが125億円発生した。買収で規模を広げる戦略が、のれんという形で資産に積み上がっている。

また今期から配当を始め、自己株式の取得も進めた。成長投資一辺倒だった会社が、株主還元にも目を向け始めた変化と読み取れる。

高成長というイメージが先に立つSHIFTだが、直近は利益がいったん後退した。よく語られる右肩上がりの姿と、目先の減益は、同じ会社のなかで同時に起きている。

筆者コメント

数字の並びを離れて眺めると、SHIFTは「成長企業の踊り場」に立っているように見える。

売上は伸び、顧客単価も顧客数も上向きだと会社は言う。土台の需要は崩れていない。それでも利益がいったん縮むのは、人を先に増やし、会社を買い、次の成長の器を用意しているからだ。

ここで気になるのは、買収で膨らむのれんである。のれんは将来の稼ぐ力への期待を映す資産だが、期待が外れれば減損として跳ね返る。実際、買収した事業で減損が生じる例も出ている。買った会社をきちんと伸ばせるか。成長のスピードと、その質は別の物差しで見ておきたい。

株価は目先の減益よりも、生成AIを取り込んだ先の姿に賭けているように映る。夢に値段が付くのが成長株の特徴でもある。だからこそ、夢が計画通りに数字へ変わっていくのかを、四半期ごとに確かめる姿勢が要る。

派手な成長率だけでなく、稼働率や利益率といった足元の指標にこそ、次の答えが出るのではないだろうか。

 

参考資料

免責事項

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
  • 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。
  • 投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください。

石津 大希