激しく振れてきた利益、いまは回復の途上

太陽誘電の業績を時系列で見ると、その振れ幅の大きさに驚かされる。営業利益は数年前に680億円台のピークをつけたのち、100億円を割る水準まで落ち込んだ。そして今期予想は450億円へと回復している。

この激しい上下は、主力の積層セラミックコンデンサが、スマートフォンやパソコンなどの需要サイクルに強く連動するためだ。市況が良ければ利益は跳ね上がり、悪化すれば一気にしぼむ。

今回の上方修正後の予想でも、営業利益はかつてのピークにはなお届かない。回復は進んでいるが、まだ途上にあるというのが実態だ。

需要の柱は情報インフラ、収益性はこれから

回復を支えているのが、情報インフラ・産業機器向けの需要だ。データセンターなどの投資拡大が、電子部品の需要を押し上げている。会社は、自動車とこの分野を注力市場と位置づけ、売上比率の向上を目指している。

もっとも、収益性はまだ発展途上だ。前期の営業利益率は6%弱と、電気機器の業種中央値である7%前後をやや下回る。ピーク期には2割近い利益率を稼いだ会社だけに、回復の余地は大きい。

今期予想の営業利益率は1割を超える見込みで、収益性の改善が進むかどうかが、今後の焦点になる。

筆者コメント

太陽誘電の株価を読むうえで欠かせないのは、この会社が「市況の波に乗る会社」だという理解だ。

積層セラミックコンデンサは、スマホやパソコン、そして足元ではデータセンター向けに欠かせない部品だが、その需要は景気やIT投資の循環に大きく左右される。だからこそ、業績も株価も大きく振れる。

今回の1Q増益と通期の大幅上方修正は、その波がいま上向きに転じていることを示している。情報インフラ向けの需要が、回復の起点になっている。

ただし、営業利益がかつてのピークに届いていないことも、同時に押さえておきたい。回復の途上にあるということは、伸びしろがある一方で、途中で息切れするリスクもあるということだ。

株価の乱高下に振り回されるより、需要サイクルがいまどの位置にあり、収益性がどこまで戻るのか。その見極めを、じっくり続けていきたいと考えている。

参考資料

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石津 大希