4. コラム:「お年寄り」は75歳から?データが語るシニアの新たなライフスタイル
ニュースや日常会話の中で「シニア」や「お年寄り」という言葉を聞いて、「自分にはまだ早い」と感じる60代の方も多いのではないでしょうか。
博報堂生活総合研究所が発表した「シニア40年変化」調査(2026年発表)のデータを見ると、その感覚が今の時代の「標準」であることがよくわかります。
4.1 「老人」と呼ばれるのは75歳を過ぎてから
同調査によると、「老人」という呼称がふさわしいとされる年齢は、1986年時点では平均71.5歳でしたが、40年経った2026年には「75.9歳」へと上昇しています。同様に「お年寄り」も72.8歳から「75.8歳」へと変化しました。
昭和のひところ、60歳代といえば「余生」「ご隠居さん」といったイメージがあったかもしれませんね。
でも現在では「ミドル以上、シニア未満」とも呼べる、現役の延長線上でアクティブに活動する年代へと変わってきているのです。
4.2 「みんなと一緒」から「ソロ活」「卒婚」を楽しむ時代へ
ライフスタイルや価値観にも大きな変化が見られます。
40年間で「家族といる時に生きがいを感じる」といった意識や、地域のグループ活動への参加意欲は低下しました。
その一方で、「仲間とより一人で行動することが多い」と答えた人は約3人に2人(66.4%)にのぼり、「一人で喫茶店やレストランに行きたい」という人は40年間で約3倍(48.6%)に急増しています。
これは孤立しているわけではなく、自立して前向きに「ソロ活」を楽しむシニアが増えている証拠です。
また、夫婦関係についても「ずっと一緒」から「それぞれの人生を尊重する」形へシフトしています。
離婚はしないものの、互いに干渉せずに自由に生きる「卒婚」を希望する人は約4割(39.5%。女性に限れば48.3%)に達しています。理想の夫婦像も、上下関係のないフラットな「友達夫婦」が約8割を占めるようになりました。
4.3 新しいシニアライフを支えるのは「経済的なゆとり」
かつてのように「定年後は家で家族とのんびり過ごす」という画一的な老後ではなく、一人ひとりが自分の趣味やソロ活を満喫し、夫婦であっても個人の時間を尊重する。それが現代の新しいシニア像です。
しかし、こうした自由でアクティブなライフスタイルを心置きなく楽しむためには、やはり「経済的なゆとり」が欠かせません。
だからこそ、体力や気力のあるうちは無理のない範囲で働き続け、本記事でご紹介しているような公的な給付金制度を賢く活用して生活の基盤を安定させることが、自分らしいセカンドライフを充実させるためのカギとなるのです。
5. 60歳代・70歳代の生活資金源をデータで分析「年金だけで生活できるか」
では、実際のシニア世代はどのような資金で老後の生活を成り立たせているのでしょうか。別の統計データから見てみましょう。
5.1 調査で見る60歳代・70歳代の老後資金の内訳
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、世帯構成にかかわらず、60歳代では公的年金に次いで「就業による収入(約29〜42%)」が家計を支える重要な柱となっていることが明らかです。
しかし70歳代になると、「就業による収入」に頼る人の割合は大きく減少し(約15〜18%)、公的年金への依存度がさらに高まる傾向にあります。
同時に、年金だけでは不足する生活費を「金融資産(貯蓄)の取り崩し(約27〜30%)」で補っている実態も浮かび上がってきます。
6. 筆者からのコメント
元気なうちに少しでも長く働き、貯蓄の取り崩しを遅らせることも、理想的なステップと言えそうですね。
だからこそ、心身ともに活動しやすい60歳代のうちに、今回解説した「高年齢雇用継続給付」や「再就職手当」といった雇用保険の制度を最大限に活用することが大切です。
7. まとめ:公的支援の活用で安定したセカンドライフの実現へ
還暦を過ぎ、定年退職を迎えた後も、これまでの豊富な経験を活かして働き続けるシニア世代が増加しています。
60歳代、70歳代になっても働くことが当たり前になった現代では、今回ご紹介したような公的給付を賢く最大限に利用する視点が、ますます重要になるでしょう。
老後の資金計画を立てる際、多くの人は預貯金をどう活用するかや、投資による「資産形成」といった自助努力に目を向けがちです。
もちろんそれらも重要ですが、国や自治体が提供する支援制度に常にアンテナを張り、自身が対象となる権利を確実に利用することも、同じくらい重要な「生活防衛」の手段といえます。
「長く働く」というポジティブな選択を経済面から支えてくれる公的制度。
その仕組みを正しく理解し、適切なタイミングで申請することが、これからの長いセカンドライフをより豊かで安定したものにするための、確かな一歩となるでしょう。



