決算を受けて、株価が大きく動いた。オリンパス(7733)は2027年3月期1Qの決算を発表し、大幅な増益に加えて通期の業績予想を引き上げた。これを受けて株価は週明けに急伸している。医療機器の世界的大手にいま何が起きているのか。直近1カ月の値動きと決算の中身、そして収益構造から読み解いていきたい。
※本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
この記事の3つのポイント
- 2027年3月期1Qは営業利益が74%増、当期利益は2倍超と大幅増益
- 通期の営業利益予想を1,460億円へ引き上げ、株価が急伸
- 収益の柱は高採算の消化器内視鏡。外科事業の立て直しが課題
1カ月の底値から2割上げ、決算でさらに一段高
直近1カ月の株価は、7月下旬に一度水準を下げたのち、切り返す展開となった。終値は7月23日の1,723円を当面の底に、8月7日には1,906円まで戻していた。そして週明けの8月10日、株価は2,099円まで一段と上昇している。前営業日からは1割の上げ幅で、1カ月を通してみれば2割を超える上昇となった。
この上昇は、直前に発表された四半期決算と通期予想の引き上げが好感されたものだ。直近時点のPERは23.63倍、PBRは2.98倍で、いずれも極端に高い水準というわけではない。回復への期待が、素直に買いを呼び込んだ形といえる。
2027年3月期1Qは営業利益74%増、当期利益は2倍超
決算は力強い数字が並んだ。2027年3月期1Qの売上収益(IFRS)は2,404億円で前年同期比16.4%増、営業利益は290億円で同74.4%増、親会社の所有者に帰属する当期利益は191億円で同2.1倍となった。増収に加え、利益率が大きく改善したことが読み取れる。
もっとも、営業利益が7割を超えて伸びた背景には、前年同期の水準が低かったことの反動もあるとみられる。前期にあたる2026年3月期は、営業利益が前の期を4割下回る低調な着地だった。その谷を経ての1Qであり、増益率の大きさはある程度差し引いて見る必要がある。それでも、増収と採算改善が同時に進んだ点は、回復の実質を伴っていると評価できる。
通期予想の引き上げと、回復への自信
会社は今回、2027年3月期通期の業績予想も引き上げた。営業利益予想は従来の1,365億円から1,460億円へ、当期利益予想は1,023億円へと上方修正している。前期の営業利益971億円からは、5割の増益を見込む計算だ。
1Qの営業利益290億円は、この通期予想の2割程度に当たる。医療機器は下期に売上が偏りやすいため、この進捗は必ずしも遅いものではない。単なる1四半期の好調にとどまらず、通期を通した回復を会社自身が見込んでいる点に、今回の上方修正の意味がある。
筆者コメント
今回の株価の急伸は、1Qの大幅増益と通期予想の引き上げが評価されたものだと見ている。ただし営業利益が7割超も伸びた背景には、前年同期が振るわなかった反動という側面もある。数字の勢いをそのまま実力の伸びと受け取るのは、やや早い。むしろ注目すべきは、会社が通期の利益見通しを引き上げてきた点だ。足元の一過性ではなく、通期を通した回復への自信を示したことが、株価を動かした本質だろう。
