当時、プレ幼稚園に通っていた長男。そこの先生に、ご自身も4人のお子さんを持つベテラン先生がいました。そのベテラン先生は、幼児教育について外に出て積極的な活動を行っていました。
さまざまなセミナーに参加したり、自分が理想とする幼児教育を進めるべく、常に忙しくしている先生でした。
その先生に帰り際、何の気なしに長男のことで話を聞いてもらいました。
「次男に乱暴で困る」
「自分を押し通そうとし過ぎて、手が出ることも増えている」
「私に何が足りなかったんだろう…これからでもできることって、何だろう…」
そんなことを話していました。相談というよりも、私の愚痴を聞いてくれているような感じでした。そのときに先生が言ってくれたのです。
『私にも4人の子どもがいて、今はみんな成人してるけど。何かと気になるのは一番上の子よ~。いくつになっても、心配なのはいつも上の子』
その言葉を聞いた時、何かスッと気持ちが軽くなった気がしたのです。
幼児教育のプロで、ご自身も4人の子持ちで、母としても幼稚園の先生としてもプロで大ベテラン。そんな先生でも、子どものことで悩むし、悩むのは一番上の子なんだ……。
そう思えた時、長男に対して心配している自分を許せる気がしたのです。「心配していいんだ。気にしていいんだ」そう思えたのです。
そして、いまだに心配なのは…
そんな長男も、いまや中学生になりました。親に言われてうっとうしがる思春期真っ只中です。私には現在幼稚園児の娘がいますが、その小さい娘よりも、いまだに心配な対象かもしれません。注意される回数も、忘れ物も、やっぱり一番多い長男。
もしかしたら、過保護過ぎるのかも…と自分で反省し、口に出すことをグッとこらえてみるのですが、それでもやっぱり目にとまってしまうのです。その理由は男の子なだけに、女親には理解しがたい言動を取ることにも原因があるのかもしれません。
そんな時に、先生の言葉を思い出すんです。
『いくつになっても、心配なのはいつも上の子』
そうすると、”気にしてもいいんだ”という思いから、気持ちが楽になると同時に、つい口に出てしまう長男への小言の回数も減る気がしています。
それでも言い過ぎたなって思った時には、謝ります。
「言い過ぎた、ごめん。それでも母ちゃんがアナタを気にかけるのは、きっと止められない」って。その気持ちが伝わっているのか、いまのところ、長男から「くそババァ!」」と面と向かって言われたことはありません(裏では知りません 笑)。
白藤 さつき