医療技術が進歩する一方で、治療や療養が長引くケースは少なくありません。突然の病気やケガで大きな医療費がかかったとき、私たちの家計を守ってくれるのが「高額療養費制度」です。

今月8月からこの高額療養費制度のルールが一部見直されています。今回は、厚生労働省が8月7日に公表した「病院報告(令和8年5月分概数)」などをふまえ、高額療養費制度の改正について解説します。

この記事でわかること

  •  2026年8月から改定された「高額療養費制度」
  •  三大死因(がん・心疾患・脳血管疾患)の治療にかかる医療費リスクの実態
  •  公的保障を踏まえて家計を守るための実践的な備え方

1. 「1日の入院患者は111万人超」約4割が直面する《三大死因》とは?

厚生労働省が2026年8月7日に公表した「病院報告(令和8年5月分概数)」によると、令和8年5月における病院の1日平均在院患者数は111万596人で、前月と比べて1万8471人減少しました。同月の1日平均外来患者数も107万5079人となっており、前月より12万9436人の減少がみられます。

一方で、病院全体の平均在院日数(患者が入院している平均の日数)は26.2日で、前月と比べて1.7日延びていることが分かりました。このうち、急性の病気などで入院する一般的なベッド(一般病床)においても15.9日となっており、ある程度の入院期間が必要となるケースが多いことが伺えます。

1.1 一生のうちに直面しやすい《三大死因》と医療費のリスク

長い人生の中では、思いがけず体調を崩し、長期間の治療が必要になることがあります。現代の日本において、私たちの生活に潜む身近なリスクとして知られているのが、悪性新生物(がん)、心疾患(心臓の病気)、脳血管疾患(脳卒中など)の「三大死因」です。

死因別死亡確率(主要死因)(令和7年)2/4

死因別死亡確率(主要死因)(令和7年)

出所:厚生労働省「令和7(2025)年簡易生命表の概況 4死因分析」

厚生労働省の「令和7年簡易生命表」によると、人が一生の中でこれらの三大死因によって亡くなる確率は、男性で45.03%、女性で39.70%となっています。男女ともにおよそ4割の方が、人生のどこかでこれらの病気と向き合う可能性があると言えます。また、65歳になった方が、その後がんで亡くなる確率は男性で25.38%、女性で17.43%に及びます。

これらの主要な病気には、治療において以下のような特徴があります。

  • 治療の長期化:がんの手術後の通院治療や、脳卒中後のリハビリテーションなど、治療や療養が数ヶ月から数年に及ぶことがあります。
  • 医療費の高額化:先進医療の利用や長引く入院・通院治療により、窓口で支払う医療費が大きくなりがちです。

自分や家族が病気になったとき、安心して治療に専念するためにも、こうした負担をあらかじめ把握し、国が用意してくれている「セーフティネット(安全網)」を知っておくことがとても大切です。