2. 女性の厚生年金は平均11万1413円、男性との差はいくら?

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数3/4

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生年金の受給額を男女別に見ると、大きな差があることがわかります。

《令和6年度末時点の老齢年金の平均月額》

  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

男女の平均額には、月額5万8554円の差があります。さらに女性の受給権者540万5752人について年金月額別に見ると、最も人数が多いのは10万円以上11万円未満の81万3990人です。月10万円未満の各階級を合計すると、女性は約206万人です。これは女性の老齢年金受給権者の約38.2%にあたります。

一方、男性は15万円以上の階級にも多く分布しており、男女で年金額の分布そのものが大きく異なっています。平均額だけでなく「実際にどの金額帯で受け取っている人が多いのか」まで確認すると、老後の年金事情がより具体的に見えてきます。

2.1 厚生年金に加入する女性は1756万人「1年で58万人増」

厚生年金保険(第1号)適用状況の推移4/4

厚生年金保険(第1号)適用状況の推移

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

厚生年金に加入する女性の人数も増加しています。令和6年度末の厚生年金保険(第1号)の被保険者数は、次のとおりです。

  • 全体:4285万人
  • 男性:2529万人(前年度比16万人増)
  • 女性:1756万人(前年度比58万人増)

特に女性の増加幅が大きく、前年から3.4%増加しています。

もう少し長い期間で見ると、令和2年度の女性被保険者は1569万人でした。令和6年度には1756万人となっているため、4年間で187万人増加しています。

男性も同期間に2479万人から2529万人へ増えていますが、女性の方が人数の増加幅は大きくなっています。厚生年金に加入して働く女性が増えていることは、将来受け取る厚生年金や女性の老後の収入を考えるうえでも重要な変化といえそうです。

3. まとめにかえて

今回は、「106万円の壁」撤廃の概要と支援制度、厚生年金の男女差の実態、将来に向けた働き方の考え方について解説しました。「106万円の壁」撤廃により、短時間労働者の社会保険加入はさらに広がる見通しです。一方で、国の支援策によって社会保険料負担の軽減が図られ、将来の年金や保障の充実につながるメリットもあります。

社会保険の加入対象拡大は、誰もが長期的に安心して働き続けられる社会を作るための公的な仕組みです。ご自身のペースを尊重しながら、最新の支援制度や保障内容を正しく理解し、暮らしと将来を守る一歩に役立てていきましょう。

制度が変わる中で、どのような準備をすればよいのでしょうか。ファイナンシャルプランナーである筆者が3つのステップにそって紹介します。

3.1 1. 勤務先の「支援策」活用状況を確認する

勤務先が社会保険の加入支援策(事業主負担を増やす仕組み)を導入しているか、人事や労務の窓口に確認してみましょう。制度を利用できれば、手取りの減額を大幅に抑えられます。

3.2 2. 「手取り額」だけでなく「保障の増額」もセットで計算する

給料からの引き落とし額だけに目が行きがちですが、社会保険には以下のような手厚いメリットがあります。

・将来の年金(老齢厚生年金)が増える

・病気やケガで休業した際の「傷病手当金」が出る

・出産時の「出産手当金」が受け取れる

目先の手取りだけでなく、万が一の際の保障費用が含まれている点を含めて総合的に判断することが大切です。

3.3 3. 自分のライフステージに合わせた選択をする

育児、介護、ご自身の体調など、置かれている状況は人それぞれです。無理に勤務時間を増やす必要はありません。「今は家庭優先で扶養内」「少し余裕ができたから社会保険に入って将来に備える」など、ご自身のライフプランに寄り添った働き方を選択しましょう。

参考資料

村岸 理美