4事業のうち稼ぎ頭はデジタルコンテンツ、利益の大半を生む
事業別に見ると、収益の重心がはっきりする。デジタルコンテンツ事業は売上高546億円(+83.0%)、営業利益376億円(+87.5%)と、全社営業利益の大半をこの一事業が生んでいる。
残る事業は横ばいから減益だ。アミューズメント施設事業は売上高68億円と伸びたが営業利益は9億円で小幅減益、パチスロ機を扱うアミューズメント機器事業は売上高71億円・営業利益40億円で減益、映像やeスポーツを含むその他事業も営業利益13億円と前年を下回った。
会社全体の大幅増益は、実質的にデジタルコンテンツの一本足で牽引された1Qだったと言える。
13期連続営業増益と、厚い自己資本という論点
時間軸を広げると、安定成長がより鮮明になる。売上高は2022年3月期の1,100億円から2026年3月期の1,953億円へ、営業利益は429億円から752億円へと、5期を通じて右肩上がりだ。会社によれば2026年3月期は13期連続の営業増益にあたる。前期のROE(自己資本利益率)は22.1%と、情報・通信業の業種中央値である11.1%を大きく上回る。
もっとも、財務には別の論点もある。自己資本比率は1Q末で83.9%と業種中央値を大きく上回り、手元の現金及び預金は1,600億円を超える。実質的に無借金に近い。安全性という意味では盤石だが、コーポレートファイナンスの観点では、これだけ厚い自己資本を成長投資と株主還元にどう振り向けるかという資本効率の論点も残る。
稼ぐ力の高さと、資本の重さは、分けて見ておきたい。
筆者コメント
同業のゲーム会社と並べて見ると、カプコンの利益の出方は際立って安定している。ヒットタイトルの当たり外れで業績が乱高下する会社が多いなかで、この会社は毎期きれいに営業利益を積み増してきた。その源泉は、単発の新作ではなく、過去作がデジタルで売れ続けるカタログの厚みにある。
1Qでリピート販売が新作を上回ったのは、その構造を象徴している。作れば作るほど、売れる棚が増えていく。ゲームというより、優良な版権を積み上げる資産ビジネスに近い姿だ。
市場が高いPERとPBRを許容しているのも、この積み上げの持続性を評価しているためではないだろうか。見るべきは目先の増益率より、新作がカタログに加わり続ける開発力と、厚い自己資本の使い道だ。稼ぐ力をどう次の成長と還元に回すか。そこにこの会社の次の論点があると考えている。
参考資料
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石津 大希