8月14日(金)は2カ月に1度の年金支給日ですが、「今のシニアは一体いくらくらいもらっているのだろう」と気になる方もいるのではないでしょうか。
総務省が2026年8月7日に発表した「家計調査報告(6月分)」によると、二人以上世帯の消費支出は前年同月比で実質3.2%減となり、7カ月連続のマイナスを記録しました。
物価高が長期化するなか、家庭の節約志向は一段と強まっています。
将来への過度な不安を解消する第一歩は、まず公的年金の仕組みと現実的な受給額を正しく把握することにあります。
老後の生活を支える大切な収入源である公的年金ですが、その仕組みは少し複雑です。
この記事では、平均年収400万円で38年働いた人の年金目安や「年金月額30万円以上」を受給する人の割合、付加保険料は何年くらいで元が取れるのかなど、最新のデータを交えながら分かりやすく解説していきます。
あわせて、定年間近で「退職金でローン一括返済はアリか?」と悩む60代の方の相談事例や、銀行預金と新NISAで積み立てた場合のシミュレーションもご紹介しますので、将来の生活設計を考える上で参考にしていただければ幸いです。
※本記事は、一部のデータを『【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説』から引用しています。
1. この記事の3つのポイント
-
2026年6月消費支出は、前年同月比実質3.2%減少(7カ月連続の減少) -
「平均年収400万円で38年間厚生年金に加入した人」の厚生年金+国民年金の目安は、額面で月額14万円 -
40年間付加保険料を納めた場合、毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされ2年で元が取れる計算
2. 2026年6月消費支出は29万886円、長引く節約志向で7カ月連続マイナス
総務省が2026年8月7日に公表した「家計調査報告 2026年(令和8年)6月分」の主なポイントは以下のとおりです。
- 1世帯あたりの消費支出:29万886円(二人以上世帯)
- 前年同月比:実質3.2%減少(7カ月連続の減少)
- 前月比(季節調整値):実質6.4%減少
食料品や日用品の値上がりが続くなか、前月比(季節調整値)で見ても大きく落ち込んでおり、家庭の財布の紐が依然として固い様子が浮き彫りとなっています。
3. 厚生年金と国民年金、受給額の個人差はどのくらい?
老後の生活を支える重要な収入源である公的年金。多くの方が、できるだけ多くの年金を受け取りたいと考えていることでしょう。
実際にどれくらいの金額が支給されるのか、気になる方も多いはずです。
年金の受給額は、これまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差がある点には注意が必要です。
この点を踏まえつつ、具体的にどの程度の個人差があるのかを見ていきましょう。
3.1 データで見る厚生年金の平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含みます。
3.2 厚生年金・受給額の分布(1万円ごと)
- 1万円未満:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上:1万9283人
男女別に見ると、男性が16万9967円、女性が11万1413円と、約6万円の差が見られます。
厚生年金+国民年金の受給額は「月額1万円未満から30万円以上」まで幅広く分布しており、個々の状況を確認することの重要性がわかります。
3.3 データで見る国民年金の平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
3.4 国民年金・受給額の分布(1万円ごと)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上:299万7738人
国民年金の平均年金月額は、全体と女性は5万円台、男性は6万円台です。
上のグラフから、「月額1万円未満から7万円以上」の範囲で分布していることが確認できます。
国民年金は満額が定められているため、厚生年金ほど受給額に大きなばらつきは見られません。
最も多い層は「6万円以上~7万円未満」であり、多くの人が満額に近い金額を受け取れていることがうかがえます。
4. 国民年金の受給額を上乗せできる「付加年金」制度
働き方が多様化する現代において、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業として働く方も増えています。
しかし、国民年金のみの受給となる場合、老後の年金額は少なくなる傾向にあります。
ここでは、国民年金の受給額を増やすための一つの方法として、「付加保険料の納付」について解説します。
付加年金とは、定額の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に「付加保険料(月額400円)」を上乗せして支払うことで、将来受け取る年金額を増やせる制度です。
4.1 付加保険料を納付できる方
- 国民年金第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
4.2 付加保険料を納付できない方
- 国民年金保険料の納付が免除されている方(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、学生納付特例のいずれか)
- 国民年金基金に加入している方
個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は、同時に加入することが可能です。ただし、iDeCoの掛金によっては併用できないケースもあるため注意が必要です。
4.3 シミュレーション:40年間付加保険料を納めた場合
仮に20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納付し続けた場合を考えてみましょう。
65歳以降に受け取れる「付加年金額」は、「200円 × 付加保険料を納付した月数」で計算できます。
- 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円 × 480カ月)
- 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円 × 480カ月)
40年間で納付する付加保険料の合計は19万2000円です。一方で、毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされるため、年金を受け取り始めてから2年で元が取れる計算になります。
5. 8月14日「年金支給日」を前に知りたい“月30万円”もらえる人の実態
国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は478万円です。
男女で差が生じており、男性の平均給与は587万円、女性は333万円です。
なお、働き方によっても年収差があり、正社員の平均給与は545万円、正社員以外は206万円となっています。
では、年収400万円で38年間働いた場合「老後どれくらい年金を受給できる」のでしょうか。
試算結果を解説します。
試算条件は以下のとおりです。
・2003年4月以降、厚生年金に38年間加入している
・国民年金は20歳から60歳までの40年間のうち、学生期間の2年間は学生納付特例(追納なし)とし、実質納付期間は38年とする
・配偶者および扶養家族はいない
日本年金機構のデータをもとに試算した結果によると、「平均年収400万円で38年間厚生年金に加入した人」の厚生年金+国民年金の目安は額面で月額14万円(年額約168万円)です。
内訳として、厚生年金は月額約6万9000円、国民年は月額約7万1000円となります。
ここから税金や社会保険料が天引きされると、手元に残る公的年金はさらに少なくなるでしょう。
試算の詳細や「現在の年金受給者の受給額ごとの割合」については、「年金月額の目安と、支給額から天引きされる税金・保険料」で確認できます。
公的年金だけで日本の平均年収と同等の400万円台を受給するのは容易ではありません。
厚生労働省年金局の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、受給者の現実は以下の通りです。
- 厚生年金受給者の平均月額:15万289円
- 月額30万円以上(年間360万円以上)の受給割合:全体のわずか0.12%(約2万人)
公的年金の額面で「月額30万円以上」を受け取れるのは、受給者全体の0.12%です。平均的な働き方では到達することが難しい水準であることがわかります。
6. 年金月額30万円は「0.12%」の現実…手取り減に備える自衛策とは
ここまで、公的年金の受給実態と現実的な受給額について解説しました。ポイントは以下のとおりです。
- 「年金月額30万円(年360万円)」はわずか0.12%:平均年収400万円台の働き方では到達が極めて難しく、ごく一部に限られます。
- 実際の「手取り額」はさらに少なくなる:額面金額から税金や社会保険料が天引きされるため、額面どおりの金額が手元に残るわけではありません。
- 受給額には大きな個人差:とくに女性は出産・育児等によるキャリアの中断で、年金額が少なくなる傾向があります。
6.1 豊かなセカンドライフに向けた次のステップ
まずは日本年金機構の「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、ご自身の将来の受給見込額を把握することが第一歩です。
公的年金だけで不足する場合は、自営業者向けの付加年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)など、公的保障を補う制度の活用も検討しましょう。
しかし、手元の現金を一度に減らしてしまう決断には、実は思わぬ落とし穴が潜んでいます。
次章では、定年前後の限られた資金を守り、伸ばしていくために知っておくべき注意点を解説します。
銀行預金と新NISAへ積立した場合のシミュレーションもご紹介します。






