5. 監修者コメント:50歳からの積み立ては「出口」まで含めて考えたい
窓口で多くのお客さまのご相談をお受けしてきたなかで感じるのは、50歳前後の方ほど「いくら貯めるか」に意識が向きがちで、「貯めたお金をどう使っていくか」まで考えている方は少ない、ということです。今回の試算で示された1131万円という金額も、65歳という到達点であると同時に、そこから始まる取り崩しのスタート地点でもあります。
もうひとつお伝えしたいのは、50歳からの15年間は、教育費や住宅ローンの返済が重なりやすい時期でもあるという点です。毎月5万円という金額が家計を圧迫するようであれば、無理に合わせる必要はありません。積立額は後から増やすことができますが、生活が立ちゆかなくなって途中で解約してしまうと、それまで積み上げてきた時間そのものを手放すことになってしまいます。
5.1 【シミュレーション】65歳で1131万円。毎月いくらずつ取り崩せば、何年もつ?
記事本文で試算した1131万円を、65歳から取り崩していく場合を考えてみましょう。ここでは運用を続けずに、預貯金として取り崩していく前提での単純計算です。
- 毎月5万円ずつ取り崩す場合:1131万円÷5万円=約226カ月=約18年10カ月(83歳台まで)
- 毎月3万円ずつ取り崩す場合:1131万円÷3万円=約377カ月=約31年5カ月(96歳台まで)
取り崩す金額を月5万円から3万円に下げるだけで、資金が続く期間は約12年半も延びる計算になります。老後の生活費は公的年金が土台となり、この資産はあくまでその不足分を補う位置づけです。毎月いくら足りないのかによって、必要な取り崩し額も、資金が続く年数も変わってきます。
なお、65歳以降も一部を運用しながら少しずつ取り崩していけば、資金が続く期間はさらに延びる可能性があります。一方で、相場が下がった局面でまとまった額を取り崩すと、資産の減りが早まる点には注意が必要です。積み立てを始める段階から、受け取り方までを含めて考えておくことをおすすめします。
6. 「もう遅い」と決める前に——少額からでも始める価値はある
定期預金に預けても大きな利息がつきにくい低金利が続くなかで、将来の資産形成を後押しするために国が用意した制度がNISAです。
投資によって得られた利益に税金がかからないことが、この制度の最大のメリットといえます。
もちろん投資である以上リスクは伴いますが、「長期・分散・積立」という基本を押さえることで、リスクをできる限り抑えることが可能です。
投資信託や株式、債券などを活用することで、預金だけでは難しいリターンが期待できるでしょう。
「もう遅い」と諦めてしまう前に、まずは無理のない金額からNISAを活用した資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。今日踏み出す一歩が、将来の安心につながっていくはずです。
参考資料
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- LIMO「【月3万円×20年】預金と新NISAの資産差はいくら?「利回り5%の積立投資 VS 金利0.3%の銀行預金」シミュレーションで徹底比較 インフレリスクを踏まえ、「複利効果」のインパクトを解き明かす」
- LIMO「【新NISA】「月5000円」でも効果は期待できるのか、積立投資をシミュレーションしてみた 「老後資金に不安あり」82.3%…最新の意識調査もチェック」
菅原 美優
