6. 監修者コメント:家計への影響はいつから、どう出てくるのか
今回のような期限付きの給付には、注意しておきたい点があります。2020年に実施された「特別定額給付金」でも、内閣府の消費動向調査などから、給付額の多くが消費ではなく預貯金に回った実態が指摘されました。「いつまで続くか分からない」「一時的なもの」と受け取られたお金は、消費に回りにくいという行動経済学的な傾向があるためです。
今回の給付付き税額控除も2年間の時限措置である以上、狙いである「消費の押し上げ」効果がどこまで発揮されるかは、慎重に見ておく必要があるでしょう。
窓口で数多くのお客様の家計相談を受けてきた経験から言えば、こうした給付金は「増えた収入」として使い切ってしまうのではなく、いったん生活費の緩衝材として据え置く使い方をおすすめしたい方が多くいらっしゃいました。物価高が続く今の局面では、給付を機に固定費(保険料の見直しや通信費など)を一度点検し、恒常的な支出体質そのものを改善するきっかけとして活用する方が、2年後に給付が終わったときの反動を小さくできます。
また、今回の制度が「個人単位」である点も見逃せません。世帯単位の給付では、家計を管理する一人がまとめて使い道を判断するケースが多い一方、個人単位の給付は「自分名義で受け取ったお金」という感覚が強くなりやすく、家族間で使い道の認識がずれてしまうこともあります。特に共働き世帯では、給付をきっかけに一度、夫婦それぞれの受け取り分をどう管理するか(共通の口座にまとめるのか、各自の判断に委ねるのか)を話し合っておくと、後々の家計管理がスムーズになるはずです。
さらに、給付額が就労収入に応じて逓増・逓減する設計である以上、パートやフリーランスの方は自身の年収がどのラインに位置するかによって、給付の有無や金額が大きく変わってきます。「年収の壁」を意識した働き方の調整が話題になりがちですが、今回の制度は壁を意識しすぎるとむしろ給付を取りこぼす設計にもなり得るため、制度の詳細が固まった段階で、自分の年収が給付額にどう影響するのかを一度シミュレーションしておくことをおすすめします。
最後に、子育て世帯への上乗せ給付についても触れておきたいと思います。18歳以下の子どもがいる世帯には人数に応じた加算がある設計ですが、教育費や生活費がかさむ時期に合わせて確実に受け取れるよう、扶養状況の届け出漏れがないかを日頃から確認しておくことも大切です。制度が本格的に動き出す前の今のうちに、家計全体の受給資格の見通しを一度整理しておくと、いざ制度が始まったときにスムーズに対応できるはずです。
参考資料
- 内閣官房「社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第22回)中間とりまとめ案」
- 内閣官房「社会保障国民会議 給付付き税額控除等に関する実務者会議(第22回)「給付付き税額控除」のイメージ(中間とりまとめ(案))」
- LIMO「食料品「消費税1%案」で進むか?年内に5万円給付を求める声も!【給付付き税額控除】2年間のつなぎ対策は対立続き「結論持ち越し」へ」
鶴田 綾
