5. 自分の将来の年金はどう調べる?「ねんきん定期便」は50歳を境にここまで記載が変わる

実際に受給が始まった後の年金額は、「年金振込通知書」で確認できます。

一方、現役世代のうちから将来の受給見込額を把握したい場合は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を利用することができます。

5.1 方法①「ねんきんネット」を利用する

日本年金機構が提供する「ねんきんネット」では、自身の年金記録をインターネット上で確認できます。

また、将来受け取る老齢年金の見込額を試算することも可能です。

5.2 方法②「ねんきん定期便」を確認する

ねんきん定期便は毎年誕生月に送付されます。

35歳・45歳・59歳には封書、それ以外の年齢にはハガキ形式で届きます。

なお、50歳未満と50歳以上では記載されている内容が異なります。

【50歳未満の場合】

50歳未満の人に送られるねんきん定期便には、これまでの加入実績をもとに計算した年金額が記載されています。

将来納付する保険料は反映されていないため、表示されている金額は現時点で受給した場合の目安です。

そのため、想像より少なく感じることがあっても、今後の加入状況に応じて受給額は変わっていきます。

【50歳未満の人に送られる「ねんきん定期便」】2/4

【50歳未満の人に送られる「ねんきん定期便」】

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド」

【50歳以上の場合】

50歳以上の人のねんきん定期便には、現在の加入状況が60歳まで続いたと仮定した場合の年金見込額が掲載されています。

65歳から受け取る予定額の目安が示されるため、実際の受給額に近い数字を確認できます。

【50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」】3/4

【50歳以上の人に送られる「ねんきん定期便」】

出所:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド」

現在の高齢者の受給額や自分自身の見込額を確認して、想定より少ないと感じる人もいるかもしれません。

しかし、現役世代のうちに状況を把握できれば、老後に向けた準備を進めることができます。

将来の生活設計を考えるうえでも、まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を活用し、受給見込額を確認しておくことが大切です。

6. 廃止か、それとも現状維持か?議論が白熱する「第3号被保険者(主婦年金)制度」をめぐる当事者たちの本音

女性の厚生年金受給額が男性より少なくなる要因の一つに、結婚や出産、育児を機に離職したり、配偶者の扶養内(第3号被保険者)でパートタイムとして働く期間が生じやすいことが挙げられます。

現在、この「第3号被保険者制度(いわゆる主婦・主夫年金)」については、共働き世帯の増加や社会保険制度の個人単位化、労働力不足などを背景に、縮小や廃止の議論が活発に交わされています。

では、影響を直接受ける可能性のある主婦・主夫層はどのように受け止めているのでしょうか。

6.1 いわゆる「主婦年金」3号被保険者制度の縮小・廃止を巡る議論をどう思う?

第3号被保険者制度についてどう思う?4/4

第3号被保険者制度についてどう思う?

出所:ビースタイルグループ 第3号被保険者制度、当事者の7割が「縮小も廃止もしない」を支持

「しゅふJOB総研」が実施したアンケート調査によると、第3号被保険者制度について「縮小も廃止もしない方が良い」と答えた人は全体で52.8%に上りました。

さらに、第3号被保険者の「当事者」に限って見ると、約7割(69.3%)が現状のまま継続することを強く望んでいるのに対し、当事者以外(または不明)の人では36.2%に留まり、両者の間で大きな意識の差が浮き彫りとなっています。

なお、見直しを容認する意見の内訳は「縮小した方が良い」が10.7%、「廃止した方が良い」が8.0%、「拡大した方が良い」が4.3%でした。

寄せられたフリーコメントからは、当事者たちの切実な葛藤や不公平感をめぐる賛否両論の本音が見えてきます。

現状維持(縮小・廃止反対)を求める切実な声

  • 「子どもが療育を必要として思うように働けない」
  • 「育児や介護、自身の体調不良などでまとまって働く時間を作り出すことができない」

といった、働きたくても働けない個別事情を抱える当事者からの悲痛な訴えが多く見られます。

  • 「これがあるから母親が家庭で子育てできる。仕事も家事育児も完璧にこなして年金まで自分で払えというのは無理がある」
  • 「転勤族だったため働く選択肢がなかった。急に廃止されたら今後の生活設計が崩れてしまう」

といった、主婦・主夫業が家庭内で果たしている役割の重要性や、これまでのライフプランへの影響を指摘する声も根強く存在します。

縮小・廃止(見直し)に賛同する声

「130万円の壁を意識した『働き控え』は、深刻な労働力不足の中で一刻も早く解消すべきだ。働きたい人が損をしない段階的な仕組みにするべき」という、就労抑制の弊害を指摘する意見があります。

  • 「個人事業主などの1号被保険者は配偶者を扶養に入れられず、会社員だけの特権となっているのはあまりにも不公平だ」
  • 「共働きが主流の世の中なので、自分の年金保険料は自分で納めるのが当然」

という、制度間の公平性を求める意見も存在しています。

このように、単に「就労を避けている」わけではなく、様々な個別事情から「働けない」状況にある当事者も少なくありません。

生活に影響が生じる人が非常に多いデリケートな問題だからこそ、誰もが納得できる新たな制度設計や移行措置には慎重な議論が求められます

7. まとめにかえて

今回は、老後の生活の支えとなる公的年金について、その仕組みや最新データに基づく受給額の実態を詳しく解説していきました。

また、最新の統計データから男女全体の平均受給額は約15万円ですが、この額を超える女性は全体の約12.3%にとどまり、男性の約68.8%と比べて大きな格差があることも確認できました。

女性は結婚や出産、育児などのライフイベントによって働き方を変えざるを得ない期間が生じやすく、現役時代の働き方が将来の年金額に直結していることが理由といえるでしょう。

公的年金だけでゆとりある生活を送るのは難しいのが現実です。現役世代のうちから「ねんきん定期便」などで将来の受給見込額を把握しておくことで、必要となる対策が見えてくるでしょう。

新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用した資産形成など、ご自身のライフスタイルに合わせた老後対策を早めのうちから検討してみてはいかがでしょうか。

8. 監修者からのコメント

熊谷 良子

記事を読み「ねんきん定期便」などで将来の受給額をシミュレーションしようと思った方に、事前に知っておいていただきたい重要な盲点があります。

それは、公的年金も現役時代の給料と同様に「額面通りにはもらえない」という点です。 実は、65歳以降に受け取る年金からも、介護保険料、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、住民税、所得税の4つが原則として天引きされます。

自治体や現役時代の収入によって変動しますが、実際の手取り額は額面の「約85%〜90%」に目減りするのが一般的です。例えば「月15万円」の年金であっても、実際の手取りは13万円前後になります。

老後シミュレーションは必ずこの天引き分を考慮した「手取りベース」で行い、不足分は新NISAやiDeCo等を活用して早い段階から計画的に補う工夫が不可欠です。

参考資料

菅原 美優