8月中旬のお盆休みを迎え、帰省やレジャーなどで出費が重なる時期ですね。今夏も記録的な猛暑が続いており、エアコンのフル稼働による光熱費(電気代)の高騰に加え、今月も2311品目に及ぶ飲食料品の相次ぐ値上げが家計を直撃しています。

さらに、来月9月には年内最多となる4500品目超の大規模な値上げラッシュが控えており、家計への負担増はピークを迎えようとしています。6月に届いた住民税や年金などの各種通知書を前に「わが家の家計は、そして将来は本当に大丈夫なのだろうか」と現実を突きつけられた方も多いのではないでしょうか。

「将来、果たして年金だけで暮らしていけるのか」と不安を抱くのも無理はありません。

しかし、資産形成において「時間」は最大の武器。あとから取り戻せないからこそ、若いうちに現実を知ることが重要です。この記事では、意外とシビアな公的年金の実態や、男女の受給額格差を解説します。

※帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年8月

※本記事は一部「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」を引用のもと執筆しています。

1. この記事の3つのポイント

  •  女性の厚生年金平均受給額は月11万1413円で、男女全体の平均を下回っている
  •  厚生年金を月15万円以上受給している女性は12.3%にとどまる
  •  将来に備えるためには、年金見込額の確認と早めの資産形成が重要

2. そもそも年金制度はどうなっている?日本の公的年金「2階建て構造」の基本をおさらい

日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。働き方によって加入する年金が変わり、将来受け取れる年金額にも大きな差が生まれます。

2.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられているのが国民年金です。

自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として加入し、全員が一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。

2.2 【第2階部分:厚生年金】

厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入するのが厚生年金です(第2号被保険者)。国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

3. 女性の厚生年金「月15万円以上」はわずか12%。3万円刻みの受給分布で見る格差のリアル

厚生年金の受給額は、現役時代の収入や加入期間によって異なります。

では、実際に女性はどの程度の年金を受け取っているのでしょうか。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均月額は全体で15万289円となっています。

なお、以下の金額には老齢基礎年金分も含まれています。

3.1 厚生年金の平均受給額

  • 全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

男女別に見ると、女性の平均受給額は男性を大きく下回っています。

では、平均額の目安となる月15万円以上を受給している女性はどのくらいいるのでしょうか。

3.2 月15万円以上を受給している女性の割合

  • 女性の受給権者数:540万5752人
  • うち、月額15万円以上受け取っている女性:66万4486人
  • 割合:約12.3%(66万4486人 ÷ 540万5752人)

女性のうち、月15万円以上の厚生年金を受け取っている人は約12.3%となっており、およそ8人に1人の割合です。

一方で、男性の割合は約68.8%となっており、受給額には大きな男女差が見られます。

3.3 女性の厚生年金受給額分布

  • 3万円未満:4万6826人(0.87%)
  • 3万円以上~6万円未満:19万4283人(3.59%)
  • 6万円以上~9万円未満:107万1557人(19.82%)
  • 9万円以上~12万円未満:226万476人(41.82%)
  • 12万円以上~15万円未満:116万8124人(21.61%)
  • 15万円以上~18万円未満:45万3415人(8.39%)
  • 18万円以上~21万円未満:15万3565人(2.84%)
  • 21万円以上~24万円未満:4万4860人(0.83%)
  • 24万円以上~27万円未満:1万535人(0.19%)
  • 27万円以上~30万円未満:1629人(0.03%)
  • 30万円以上~:482人(0.01%)

3万円刻みに整理した分布を見ると、受給者数が最も多いボリュームゾーンは「9万円以上~12万円未満」の層で、全体の約4割(41.82%)を占めています。

月15万円以上の厚生年金を受け取っている女性はわずか12.3%に留まっており、約9割近くの女性が「月15万円未満」の受給額であるというシビアな現実が浮き彫りになります。

女性は結婚や出産、育児、さらには介護といったライフイベントをきっかけに、離職や時短勤務、扶養内でのパートタイム就労など、現役時代の働き方が変化するケースが少なくありません。

こうした就労環境や加入期間の違いが、将来の受給額の男女差に直結していると考えられます。

相次ぐ物価高が家計を揺らす現代において、公的年金だけでゆとりある生活水準を維持していくのは決して容易ではありません。

だからこそ、早い段階から将来の生活設計を具体的にイメージし、準備を始めておくことが大切です。

まずは「ねんきんネット」や毎年手元に届く「ねんきん定期便」を賢く活用し、まずは「自分自身の受給見込額」を正しく把握することから一歩を踏み出してみましょう。

厚生年金の受給額や年金のしくみについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント

4. 筆者からのコメント

菅原 美優

多くの方の家計相談をお受けする中で、40代や50代の現役世代が抱く「漠然とした老後への不安」をよく耳にします。

しかし、不安を感じつつも「具体的に何をすればいいか分からない」「投資は元本割れのリスクが怖くて踏み出せない」と、お悩みのまま時間だけが過ぎてしまうケースは少なくありません。

ファイナンシャルアドバイザー(FA)としてお伝えしたいのは、最初から完璧なマネープランを作る必要はないということです。

大切なのは、今できる小さな一歩を踏み出すこと。日々の家計の収支を見直して浮いた固定費などを、新NISA等で無理のない範囲でコツコツ積み立てるだけでも、将来の資産寿命は確実に延ばせます。

まずは「今の家計の見える化」から始めてみましょう。