4. 年代別「貯蓄と有価証券」の割合|20歳代から70歳代以上まで徹底比較
年代別のデータを見ると、ライフステージが変化するにつれて、預貯金と有価証券の持ち方にも違いがあることがわかります。
総務省「家計調査(貯蓄・負債編) 二人以上の世帯(2025年)」によると、二人以上の勤労者世帯では平均貯蓄額が1717万円、そのうち有価証券は370万円です。
有価証券が貯蓄全体に占める割合は約21.5%となっています。
4.1 20歳代は貯蓄の28.3%が有価証券、最も割合が高い世代
- 平均貯蓄額:428万円
- 有価証券保有額:121万円(約28.3%)
20歳代は、今回の年代別データのなかで、有価証券が貯蓄全体に占める割合が最も高くなっています。
住宅購入や教育費など、大きな支出がまだ少ない時期でもあり、比較的資金を動かしやすい年代といえるでしょう。
若いうちから有価証券を保有している世帯があることがうかがえます。
4.2 30歳代~50歳代は有価証券を抑えつつ現金比率を高める時期
- 30歳代:保有額 293万円(割合:約27.3%)
- 40歳代:保有額 300万円(割合:約21.7%)
- 50歳代:保有額 348万円(割合:約19.8%)
30歳代から50歳代は、結婚や子育て、住宅購入など、大きな支出が発生しやすい時期です。
急な支出に備えて預貯金を確保する必要性も高くなるため、年代が上がるにつれて有価証券の割合は低下しています。
一方で、有価証券の保有額そのものを見ると、30歳代の293万円から50歳代の348万円へ増えています。
年代別に見ると、有価証券の割合には違いがある一方、平均保有額は30歳代より50歳代の方が高くなっています。
4.3 60歳代で貯蓄・有価証券保有額がともに急増
- 平均貯蓄額:2843万円
- 有価証券保有額:713万円(約25.1%)
60歳代になると、平均貯蓄額は2843万円となり、有価証券の保有額も713万円まで増えています。
50歳代の348万円と比べると、有価証券の保有額は大きく増加しています。
貯蓄に占める割合も約25.1%と、50歳代より高くなっています。
4.4 70歳代以上は60歳代からやや減少も有価証券は約2割を維持
- 平均貯蓄額:2471万円
- 有価証券保有額:456万円(約18.5%)
70歳代以上では、平均貯蓄額、有価証券保有額ともに60歳代より低下しています。
一方で、有価証券は平均456万円保有されており、貯蓄全体の約18.5%を占めています。
預貯金だけに切り替えるのではなく、有価証券も一定割合保有していることがわかります。
年代別に見ると、20歳代では有価証券の割合が高く、30歳代から50歳代では割合を抑えながら保有額を積み上げています。
60歳代では再び割合が上昇し、70歳代以上でも一定程度の有価証券を保有しています。
資産形成を考える際は、有価証券を「いくら持っているか」だけでなく、資産全体のうち「何%を保有しているか」に目を向けることも重要です。
※本データにおける「有価証券」には、NISA口座以外(特定口座や一般口座、その他の非課税制度など)での運用分も含まれており、記載された金額すべてがNISA口座での運用額を示すものではありません。
5. 新NISAを始める前に「どこまでの値下がりに耐えられるか」を確認しよう
新NISAを使って積立投資を始める際には、自分の「リスク許容度」を把握しておくことも重要です。
リスク許容度とは、保有資産の価格が一時的に下がったときに、家計や心理面でどの程度までなら受け入れられるかを示す考え方です。
同じ金額だけ資産が減ったとしても「長期で運用するので気にしない」という人もいれば、大きな不安を感じる人もいます。
リスク許容度は、主に次のような条件によって変わります。
- 年齢と運用期間:運用できる期間が長いほど、一時的に価格が下落しても回復を待てる時間があります。
- 収入と余裕資金の有無:生活費や緊急時に使うための資金を十分に確保できているほど、価格変動にも対応しやすくなります。
- 投資経験と性格:価格の変動をどの程度受け入れられるかや、投資経験の有無には個人差があります。
たとえば、自分の資産が20%下落した場合を想像し、それでも慌てずに運用を続けられるかを考えてみるのも、リスク許容度を確認する方法のひとつです。
事前に自分が受け入れられる値下がりの範囲を考えておけば、相場が下落したときに不安から慌てて売却することを防ぎやすくなるでしょう。
6. 【出口戦略】老後資金を長持ちさせる「定率取り崩し」という考え方
積立投資を続ける中で見落とされがちなのが、「増やした資産を老後にどう使っていくか」という出口戦略です。
せっかく形成した資産も、退職時に一括解約してしまっては相場下落の影響を強く受けてしまいます。そこで世界的に注目されているのが、運用を続けながら一定の割合を取り崩す「定率取り崩し(4%ルールなど)」という手法です。
例えば、保有資産から毎年4%ずつを取り崩す場合、残りの資産は運用が続くため、資金の寿命を大幅に引き伸ばすことが可能になります。
新NISAは売却益が全額非課税なうえ、必要なタイミングで必要な分だけ少額売却できるため、定率取り崩しと非常に相性の良い制度です。
「貯めるフェーズ」から「安心に使うフェーズ」への移行を意識しておくことが、老後破産を防ぐ大きな鍵となります。
6.1 【リスク管理の視点】人と比べず「使う時期」でリスクを切り分ける
SNSで話題の銘柄や他人の投資額に振り回される必要はありません。大切なのは「何のために、いつ使うお金か」によってリスクの取り方を変えることです。
例えば、5年後に使う教育資金なら安全性を重視した預貯金や堅実な運用、20年以上先の老後資金なら複利効果を狙った投資信託といった切り分けが不可欠です。
我が家のライフプランに合わせた目的別の資金管理を行うことが、将来の不安を解消し家族の資産を守る近道になります。
7. まとめ:無理のない金額で「長く続ける」が新NISA活用の鉄則
2026年秋、継続的な物価上昇と食料品の値上げラッシュにより、現金のまま資産を置いておくリスクは一層高まっています。
新NISAは非課税期間が無期限となり、資産防衛の強力な武器となりますが、大切なのは「ただ口座を作ってなんとなく積み立てる」状態から脱却することです。
「いつ・何のために・いくら必要なのか」というゴールを明確にし、自身の資金用途やリスク許容度に合わせた資産管理を行うことこそが、インフレに負けない家計を作る鍵となります。
枠を使い切ることにとらわれず、まずは無理のない目標設定から、ご自身の将来のロードマップを見直してみましょう。
7.1 【資産管理の視点】暴落より怖いのは"やめてしまうこと"、年1回の棚卸しを
資産運用で陥りがちなのが、日々の評価損益に一喜一憂して不安になることです。
市場の下落局面でも「夜ぐっすり眠れるか」という心の余裕こそが、本当のリスク許容度と言えます。積立額は「一度決めたら変更できないもの」ではありません。
年末や新年度など年1回の「家計の棚卸し」のタイミングで、固定費や収入の変化に合わせて柔軟に見直しましょう。
家計の体力に合わせた微調整こそが、息の長い資産形成につながります。
