5. 「経験」と「投資」、どちらかを選ばなくてもいい
ここまで見てきたように、「経験を優先する」考え方と、「時間を味方につけて積立を続ける」考え方は、必ずしも対立するものではありません。どちらか一方を選ぶのではなく、両方をバランスよく取り入れる方法を考えてみるのも一つの手です。
5.1 生活費と投資額のバランスを定期的に見直す
収入やライフステージが変われば、無理のない投資額も変わってきます。ボーナスや昇給のタイミングなどで、生活費と投資額の配分を見直す機会を作っておくと、どちらかにしわ寄せが偏りにくくなります。
5.2 「経験費」も資産形成の一部として捉えてみる
旅行や学びなど、将来のキャリアや人間関係に生きてくる経験への支出を、投資と同じように「将来への配分」の一部として位置づけて考える方法もあります。すべてを投資に回すのではなく、経験費と積立額のバランスを自分なりに決めておくと、どちらも無理なく続けやすくなります。
5.3 無理のない金額からでも、早めに積立を始めておく
先ほどの早見表からも分かるように、積立額が少なくても、期間が長くなるほど資産の伸びは大きくなっていきます。毎月1万円や2万円といった無理のない金額からでも、早めに積立を始めておくことは、後になって振り返ったときの安心材料になり得ます。
6. まとめ
「NISA貧乏」という言葉が話題になった背景には、生活を切り詰めてまで投資を優先することへの違和感があります。一方で、積立投資においては「時間」そのものが20代・30代の大きな資産になるという側面も見えてきました。
経験に使うお金と、将来のために積み立てるお金、どちらもゼロにする必要はありません。自分の収入や価値観に合わせて、無理のない範囲でバランスを探っていくことが大切です。
ですが、生活を極端に切り詰めてまで投資額を増やす必要はなく、無理のない金額を長く続けることの方が、結果的には資産形成にもつながりやすくなります。
今の生活を大切にしながら、将来の自分のために少しずつ備えていく——そのくらいの距離感で、NISAと付き合っていけるとよいのではないでしょうか。
参考資料
和田 直子
