6. 【2028年4月施行】女性のキャリアプランにも影響する「遺族厚生年金」の大改正

家計のマネープランを組み立てる際、多くの現役世帯にとって「万が一の保障」は遠い未来の課題、あるいは自分たち若い世代には実感が湧きにくいテーマとして片付けられがちです。

しかし、予期せぬ形でパートナーを失い、残された家族が生活設計の重大な選択を迫られるリスクは、決してシニア世代に限った話ではありません。

不測の事態に備える生活防衛の観点から、すべての現役世代が今こそ正確に把握しておくべきなのが、すでに改正法が成立し、2028年(令和10年)4月に施行を控える「遺族厚生年金制度の大幅な見直し」です。

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出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」をもとにLIMO編集部作成

出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」をもとにLIMO編集部作成

これまで、子どもが自立した後も配偶者が65歳に達するまで生涯にわたって受給できるとされていた手厚い公的保障が、現役世代については原則「最長5年間の有期給付」に制限される方向へと大きく舵が切られます。

「万が一の事態が起きても、国の保障がずっと支えてくれる」という前提で家計や生命保険を組んでいると、将来的に大きな想定外の資金不足に直面しかねません。

6.1 改正の影響を「受ける人」と「受けない人」の整理

縮小(有期化)の影響を受ける人

  • 2028年度時点で「40歳未満」の女性。子ども独立後の65歳までの保障が終身から5年に短縮。

新たに給付を受けられる人

  • 子のない「20〜50代」の男性(夫)。男女差が解消され、妻の死亡時に5年間の有期給付が保障。

改正の影響を受けない人

  • 2028年度時点で「40歳以上」の女性、すでに受給している方、配偶者死亡時に60歳以上の方。

国の保障はいま、「世帯の扶養を終身で生涯保障する」形から「自助努力と共働きを前提としたセーフティネット」へとシフトしています。

現役世代、特に若い女性や共働き世帯にとっては、中長期的な生活防衛策(新NISAやiDeCoを用いた資産形成、生命保険の保障額の適切な設計)を自律的に行っていくことがこれまで以上に強く求められます。

改正の具体的な仕組みや、「夫30歳・妻30歳・子2歳」といった具体的な世帯において、万が一のことが起きた場合に受け取れる遺族年金額が新旧の制度でどのように推移するのか。年齢・世帯構成別のより詳細なシミュレーション比較については、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。
【遺族厚生年金】2028年4月からどう変わる?「どんな人に・どんな影響があるか」現行制度と見直し後を年金額シミュレーション比較

7. まとめにかえて:世帯単位での「お金の見える化」が第一歩

夫婦それぞれの「働き方の履歴」は, そのまま老後の世帯年金額に反映されます。

夫婦の就労状況が変わるタイミングといったは、ねんきん定期便などを用いて、将来の世帯年金受給額(手取り目安)を具体的にシミュレーションするよいの機会です。

早い段階からiDeCoや新NISAなどを用いた長期の資産形成方針を共有しておくことが、老後不安を根本的に解消し、豊かな人生設計を描くための第一歩となります。

熊谷 良子

社会保険の適用拡大が進む今、一歩を踏み出して厚生年金に加入することは、老後の年金を増やすだけでなく、万が一の病気やケガの際に給与の約3分の2が支給される「傷病手当金」など、現役時代の生活保障を何重にも厚くする手段でもあります。

年金を「今の挑戦を支えてくれる心強い味方」と捉え、ぜひ前向きに、ご自身らしいライフ&キャリアをデザインしていってくださいね。

参考資料