タイミング事業の譲渡と、熊本地震という不確実性
足元では大きな事業の入れ替えもあった。会社は、タイミング事業を米SiTime社へ譲渡する取引が2026年7月1日付で完了したとし、これに伴い約4,433億円の譲渡益が発生する見込みだとしている。
ただし税金など最終的な損益への影響は精査中としている。手元資金の積み上がりは、次の投資や還元の原資にもなりうる。
一方で会社は、2026年7月28日に発生した地震により熊本県内の錦工場などが影響を受けたとしており、損害額は調査中としている。
回復基調のなかに、供給面の不確実性も抱えている。財務面では、中間期末の自己資本比率が62.5%と厚みを保つ。ただし度重なる買収の結果として、のれんが2兆円規模まで積み上がっており、資産の多くを買収で得た無形の価値が占める。
半導体は好不況の波が大きい業種だけに、稼ぐ力の回復が続くかどうかが、この重いのれんを正当化できるかの分かれ目になる。
筆者コメント
直近のルネサスは、赤字からの反転点として位置づけられる。前年同期は金融費用が利益を押し下げ最終赤字に沈んだが、当中間は本業の採算改善で営業利益が数倍に膨らみ、黒字へ戻した。数四半期の時系列で見ると、損益のトレンドがはっきり変わっている。
ただし、回復の裏側には見えにくい要素も潜む。タイミング事業の譲渡益は一過性であり、恒常的な稼ぐ力とは切り分けて見ておきたい。地震による工場への影響も、数字として固まるのはこれからだ。株価が大きく戻したのは、黒字転換という分かりやすい事実を映した面があるとみられる。
回復が本物かどうかは、次の四半期に本業の採算がどこまで続くかで確かめられる。重いのれんを抱える会社にとって、市況の波を越えて利益を積み上げられるかが、評価の芯になるとみている。
参考資料
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石津 大希