TOTO(5332)はトイレや水回りの会社という印象が強いが、利益の稼ぎ手は少し違う。2027年3月期1Qは小幅な営業減益ながら経常・最終利益は増えた。株価はというと、8月3日に前日比で約1割下げている。
数字とセグメントから、足元を読み解きたい。
本記事中の株価は、過去の株式分割の影響を調整した値を使用しています。
8月3日に約1割安。直近1カ月の株価を振り返る
株価は7月を通じて水準を切り下げてきた。月初は8,500円台だったが、下旬にかけて7,000円前後まで下げ、決算をはさんだ8月3日は6,171円と前日比で約1割下げ、直近1カ月で最も低い水準となった。
1Qの営業利益が小幅ながら減益だったことや、相場全体の地合いが意識された可能性はあるが、下落の背景を一つに絞るのは難しい。
株価評価は、8月3日時点でPER22倍、PBR1.89倍となっている。同業種内では、市場の評価はおおむね平均的な水準にある。
1Qは小幅営業減益、経常・最終は増益
2027年3月期1Qは、売上高が1,686億円(前年同期比+1.7%)、営業利益が81億円(同▲1.6%)、経常利益が94億円(同+7.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益が69億円(同+9.5%)となった。
営業段階では小幅な減益だが、為替差益などを含む経常段階から下では増益を確保している。
会社は今期の通期について、売上高7,850億円(+6.4%)、営業利益600億円(+11.6%)、純利益460億円(+14.3%)を見込み、年間配当も前期の110円から120円への増配を計画している。増益と還元強化を同時に描く見通しだ。
利益を支えるのは水回りではなくセラミック
1Qのセグメント別営業利益を見ると、一般的な印象とのズレが見て取れる。本業にあたるグローバル住設事業(国内外の水回り)の合計が22億円にとどまる一方、新領域事業のセラミックが65億円と、住設本業を上回って全体を支えた。
セラミック事業は、半導体製造装置向けなどのファインセラミックスを扱う分野だ。水回りで培った素材の技術が、成長分野の部材として稼ぐ柱になっている。
住設は住宅市場や海外の景気に左右されやすいが、そこにセラミックという別の収益源が加わることで、利益の振れを和らげている。
トイレの会社という括りだけでは、この会社の稼ぐ力は捉えきれない。
決算後の下落と、二本柱が示す利益の厚み
決算後の株価下落は、目先の小幅な営業減益に市場が反応した面がある。だが一歩引いて利益の中身を見れば、水回りの安定収益に半導体関連のセラミックが乗る二本柱の構造が、むしろ厚みを増している。営業段階では減益でも、経常・最終利益がそろって増えたのは、その裏づけといえる。
トイレの会社という一面だけでは測れない収益の姿こそ、この銘柄を読むうえでの起点になる。目先の一日の値動きと、稼ぐ構造の変化は、分けて見ておきたい。
