5期の利益推移と、堅実な財務・還元

過去5期の最終利益をたどると、2025年3月期は大きな減損もあって122億円まで落ち込んだが、前期の2026年3月期は403億円へ回復した。

前期に利益を押し下げた減損の要因が薄れ、今期は本業の採算改善と新領域の伸びが利益を押し上げる見取り図になっている。

財務は堅実で、自己資本比率は66%台を保つ。手元の現金や投資有価証券も厚く、資産の余裕は大きい。株主還元にも積極的で、配当性向はおおむね4割台、連続増配も続けている。

会社は中・長期の経営計画で新領域の拡大を掲げており、セラミックの伸びは会社の描く成長戦略とも重なる。水回りで得た安定収益を、成長分野へ振り向ける流れができつつある。

筆者コメント

半導体関連を収益の柱に持つ会社は、市場で高い評価を受けやすい。だが、TOTOの株価純資産倍率は1倍台後半にとどまり、純粋な半導体関連株ほどの評価は受けていない。水回りとセラミックが同居する複合企業ゆえの、評価のしづらさがあるのかもしれない。

見ておきたいのは、株価下落が住設の目先の減益に引っ張られた点だ。利益の実態は二本柱で厚みを増しているのに、株価は分かりやすい一面に反応した。市場がまだ、この二重構造を十分に織り込めていない可能性がある。

もっとも、セラミックの追い風がいつまで続くかは半導体の設備投資次第だ。住設の採算回復と、セラミックの伸びの持続。この二つが噛み合うかどうかを、次の四半期以降で見極めたい。

参考資料

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石津 大希