5. 老後まで20年、今からいくら備えれば安心?
65歳時点で月3万5000円の赤字に転じると仮定し、老後期間を25年間(65~90歳)とすると、必要な備えの総額は次のようになります。
- 老後トータルでの必要額:3万5000円×12か月×25年=1050万円
この1050万円を、45歳から65歳までの20年間で準備する場合、貯蓄のみで備えるケースと、資産運用を活用するケースとでは、必要な毎月の積立額に差が出ます。
- 貯蓄のみ(運用なし)の場合:1050万円÷20年÷12か月=毎月約4万3750円の積立が必要
- 資産運用を活用する場合(仮に年利3%で運用できたとすると):毎月約3万2000円の積立で到達可能
老後まで20年という準備期間の長さは、資産運用の効果を大きくする武器にもなります。同じ1050万円を準備するにも、時間を味方につけることで、毎月の負担を1万円以上軽減できる計算です。
6. 【筆者からのアドバイス】
「今は年金だけで生活費が賄えそうだ」と感じられる場合でも、20年という長い時間軸では、税金・社会保険料の負担増や物価上昇によって状況が変わり得ます。だからこそ、老後まで時間がある今のうちに、次のような備えを進めておきたいところです。
- iDeCoやNISAなど、長期の時間を活かせる資産運用の制度を活用する
- 資格取得やスキルアップを通じて、現役時代の収入そのものを底上げしておく
- 固定費(住居費・保険料など)を早いうちから見直し、将来の生活費の膨らみに備える
- 「ねんきん定期便」で定期的に見込み額を確認し、想定と実際のズレを早めに把握する
老後まで20年あるということは、それだけ選択肢と修正のチャンスが多いということでもあります。まずは現状の年金見込み額と生活費の関係を数字で押さえ、そこから逆算した備えを、無理のないペースで始めていきましょう。
7. まとめ
夫婦の年金を月30万円、生活費を月25万円と仮定すると、額面ベースでの収支は月5万円の黒字です。しかし、手取りベースでは黒字が2万円まで縮み、さらに20年後の物価上昇まで考慮すると、月3万5000円の赤字に転じる可能性があります。
「今は年金だけで足りている」という安心は、時間の経過とともに変わり得るものです。老後まで20年あるからこそ、資産運用や収入アップ、支出管理といった選択肢を組み合わせながら、無理のないペースで備えを進めていけるのではないでしょうか。
8. 【参考】もし老後まで10年しかなかったら、必要な積立額はどう変わる?
本文では、45歳から65歳までの20年間で1050万円を準備するケースを試算しました。
では、同じ1050万円という目標額を、もし老後まで10年(55歳スタート)で準備するとしたら、毎月の負担はどう変わるでしょうか。
- 貯蓄のみ(運用なし)の場合:1050万円÷10年÷12か月=毎月約8万7500円の積立が必要(20年プランと比べ、約4万3750円の増加)
- 資産運用を活用する場合(年利3%と仮定):毎月約7万5000円の積立で到達可能(20年プランと比べ、約4万3100円の増加)
準備期間が半分になるだけで、毎月の負担は4万円以上増える計算です。「老後まで20年ある」ことは、それ自体が大きなアドバンテージだと言えます。
参考資料
和田 直子