では、『大人のひきこもり』のきっかけには、どのような事例があるのでしょうか?
人間関係が原因で会社に行けなくなって
大学卒業後に就職した職場で、気難しいと有名な上司のアシスタント業務をすることになりました。上司は悪い人ではなかったのですが、とにかく仕事に厳しい。でも、親切に教えてくれるわけでもないから、経験の浅い私は失敗ばかり。だんだんと仕事に行くのが怖くなってしまって、理由をつけては休んでいるうちに、会社にいけなくなって…。そのまま退職しました。以来ずっと実家に引きこもる毎日です。(20代女性)
再就職ができなくて
学生のときに就職活動では、割とあっさり内定がとれたのです。だから、転職を決めたとき、次もすぐに決まるだろうと軽く考えていました。でも、甘かった。何社も落ちて、自分にも自信がなくなって…。いつしか、転職活動もやめてしまいました。もともと自宅から職場に通っていたので、そのままひきこもりに。親には申し訳ないと思いつつ、動き出せないでいる日々です。(30代男性)
病気がきっかけで
思えば子どものころから、極度のあがり症だったり、人にどう思われているのかがすごく気になったりと傾向はあったような気がするのですが、社会人になってから、外に出ようとすると心臓が締め付けられるような感覚を覚えたり、動悸がしたりといった症状に悩まされるようになりました。心療内科で診てもらったところ、『社会不安障害』と診断され、仕事を続けることが難しくなっていったん退職。快方には向かっていますが、まだ社会復帰への自信がなく、ほとんど家で過ごしています。(20代男性)
ひきこもり問題を解決へ導くには
今は80代の親世代も、いずれは90代を迎える、もしくは他界してしまうはず。そうなる前に、ひきこもり状態を早急に解決へと導く必要があります。
そのためには、周囲からの支援を受けることも考えていく必要があるでしょう。具体的には、以下のようなサポートが存在します。
・厚生労働省による相談窓口
・ハローワークによる就労支援
・民間団体によるひきこもりの社会復帰支援
これらのサポートは、ひきこもりをしている本人が来所する必要があるものがほとんど。外に出向くことに抵抗があるひきこもりにとって、支援を受ける勇気が出ないケースも多く見られます。
そこで、オンライン上でのやりとりで支援する団体や、在宅ワークを紹介してくれるサポートも視野に入れるといいでしょう。会社を見学したい、家の中で支援を受けたいというニーズに対応している団体も存在します。まずは、本人や家族の希望に合った団体を探すことが第一歩です。
まとめ
今は親が面倒を見てくれていても、いつかは自立しなければならない時がやってくるはず。本人のため、そして家族のためにも、ひきこもり生活から脱却する糸口を見つけておくことは非常に大切です。自分にあった働き方や生活スタイルを見つけることができれば、社会復帰への新たな1歩になるかもしれません。
LIMO編集部