7月28日に厚生労働省が公表した「令和8年度地域別最低賃金額改定の目安について」によると、今年度の地域別最低賃金の改定目安は、の引上げとなり、仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1176円(昨年度と比べて上昇額は55円)に達することが示されました。

所得水準の底上げが議論される中、社会全体で自身の働き方や手取り収入、そして中長期的な生活設計について見直す機運が高まっています。特に単身世帯においては、収入の安定期にこそ計画的な資産形成を始めることが、将来への大きな安心に繋がります。

仕事にも生活にも慣れ、収入が安定してくる40歳代。おひとりさまにとっては、家計を管理するのも、将来に備えるのも自分ひとりです。「そろそろ本気で貯めたいけれど、何から手をつければ」と感じる方も多いのではないでしょうか。

まずは、同世代のひとり暮らしがどれくらい貯めているのかを、平均と中央値から確かめてみましょう。そのうえで、お金を上手に振り分ける考え方を紹介します。

今回は、40歳代のおひとりさま(単身世帯)の平均貯蓄額と中央値を確認し、家計を整える「お金の3つの置き場所」をみていきます。

中本 智恵
銀行員時代、40歳代のご相談を受けていて感じたのは、お金を「役割ごとに分けている」人ほど、着実に貯まっているということでした。使うお金、そなえるお金、ふやすお金。この区別をつけるだけで、家計が驚くほど整っていきます。

1. この記事を読んだらわかる3つのポイント

  •  40歳代おひとりさまの平均859万円・中央値100万円
  •  お金を「使う・そなえる・ふやす」に分ける、家計の整え方
  •  まず何から手をつける?ひとりの家計を整える順番

2. 【40歳代おひとりさまの平均貯蓄額】中央値はいくらか?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、40歳代・単身世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は次のとおりです。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。

2.1 40歳代おひとりさまの貯蓄額(平均・中央値)

中本 智恵
平均だけを見て「自分は貯められていない」と感じる必要はありません。中央値でみれば、40歳代はまだこれから備える方が多い年代です。まずはご自身の位置を確かめることから始めましょう。
  • 40歳代単身世帯:平均859万円/中央値100万円

40歳代のおひとりさまは、平均859万円・中央値100万円。平均が中央値の8倍以上に開くのは、蓄えの多い一部の人が全体を押し上げているためです。金融資産を持たない人も32.1%と、3人に1人ほど。2000万円以上を持つ人は12.7%です。平均に届かなくても落ち込みすぎず、まずは自分の位置を中央値と見比べてみましょう。多くの人にとって、準備はこれからです。

20歳代から70歳代までの全世代・単身と二人以上世帯を比較したデータについては、こちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

3. お金の「3つの置き場所」で家計を整える

貯まる家計をつくるコツは、手元のお金を「3つの置き場所」に分けて考えることです。役割ごとに分けておくと、使ってよいお金と守るべきお金の区別がつき、貯蓄が続きやすくなります。

ひとつめは「使うお金」。毎月の生活費など、日常のやりくりに充てるお金です。給料が入る口座で管理し、この範囲で暮らすのが基本になります。

ふたつめは「そなえるお金」。病気やケガ、失業など、いざというときのための資金です。目安は生活費の半年から1年分。すぐに引き出せる預貯金で、生活費とは別に確保しておきます。ひとり暮らしは頼れるのが自分の蓄えだけなので、ここは特に大切です。

みっつめは「ふやすお金」。当面使う予定のない、余裕資金です。時間を味方につけて育てる部分で、新NISAなどの制度を使って長期でコツコツ運用する選択肢もあります。ただし投資には元本割れのリスクがあるため、「そなえるお金」を確保したうえで、無理のない範囲にとどめます。

この3つのバランスは人それぞれ。まずは「そなえる」を満たし、次に「ふやす」を少しずつ増やしていくのが、おひとりさまには安心な順番です。