4. 厚生年金「月額15万円」以上を受け取っている人の割合は?

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の受給権者(国民年金部分を含む)全体における平均年金月額は15万289円です。

では、平均額に近い「月額15万円以上」の年金を受け取っている人は、全体のどの程度を占めるのでしょうか。

【年金一覧表】厚生年金+国民年金「男女別」受給月額2/2

厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成 

同資料の年金月額階級別データを集計したところ、月額15万円以上を受給している人は、受給権者全体(1608万5696人)のうち49.8%であることが分かりました。

厚生年金を受け取っている人のおよそ半数が、月額15万円以上を受け取っている計算です。

4.1 男女別に見ると?大きく異なる「15万円以上」の割合

この「月額15万円以上」の割合を男女別に集計すると、以下のように大きな差が見えてきます。

  • 男性(受給権者1067万9944人):月額15万円以上の割合は約68.8%
  • 女性(受給権者540万5752人):月額15万円以上の割合は約12.3%

男性は7割近くが月額15万円以上を受け取っている一方、女性は1割強にとどまっています。この差は、現役時代の賃金水準や、厚生年金への加入期間の違いが大きく影響しています。

ただし、ここで示されているのは、あくまで男女全体の傾向。個々の受給額は、現役時代の働き方や加入期間によって大きく変わるため、平均や割合だけで自分の将来を判断するのは早いでしょう。

次の章では、年金額そのものだけでなく、実際に受け取れる「手取り額」についても確認していきます。

加藤 聖人
データを見るとき注意したいのは、これはあくまで「今の受給者」の平均的な傾向であり、これから年金を受け取る世代の数字がそのまま当てはまるわけではないという点です。

特に女性は、出産・育児による休職や非正規雇用の期間が年金額に反映されやすく、こうした制度的な背景も踏まえて見る必要があります。また、離婚時には厚生年金の記録を分割できる「年金分割」という仕組みもあり、単身になった経緯によって受け取れる年金額が変わるケースもあります。

自分の年金見込み額は、ねんきん定期便やねんきんネットで具体的な数字として確認できます。平均や割合といった全体の傾向だけで判断せず、まずは自分自身の記録を確認することから始めてみましょう。

5. 年金からも「税金・社会保険料」が天引きされているので注意

ここまで確認してきた年金額は、税金や社会保険料が差し引かれる前の額面です。実際に口座へ振り込まれる金額とは異なります。

年金からは、主に以下のようなお金が差し引かれる場合があります。

  • 所得税および復興特別所得税:公的年金等控除を差し引いた後の金額をもとに計算されます
  • 住民税および森林環境税:前年の所得をもとに、市区町村が計算します
  • 国民健康保険料:退職後に国民健康保険へ加入する場合に、年金から差し引かれることがあります
  • 後期高齢者医療保険料:75歳以上になると原則加入し、所得や地域によって金額が異なります
  • 介護保険料:65歳以上の人が負担するもので、要介護認定の有無にかかわらず発生します

このように、年金からは複数の項目が差し引かれるため、先ほど確認した「月額15万円」という金額も、そのまま生活費として使えるわけではありません。

年金額を見る際は、額面の金額だけで判断せず、実際の振込額(手取り額)もあわせて確認しておく必要があります。

6. まとめ

日本の公的年金は、国民年金と厚生年金の2階建て構造です。現役時代の働き方によって加入する制度が異なり、将来受け取る年金額にも差が出ます。

厚生年金を受け取っている人のうち、月額15万円以上を受給している人は全体で約49.8%です。しかし、これを男女別に見ると、男性は約68.8%であるのに対し、女性は約12.3%と、大きな格差が存在します。

特に単身女性の場合、この現実を「何とかなる」で済ませず、早めに自分自身の年金見込み額を確認しておくことが大切です。

また、この金額はあくまで税金や社会保険料が差し引かれる前の額面であり、実際の振込額とは異なります。

まずは、ねんきん定期便やねんきんネットを使い、将来受け取れる年金額を把握してみましょう。

加藤 聖人
年金額を増やす方法として、受給開始を遅らせる「繰下げ受給」も選択肢のひとつです。受給開始年齢は60歳から75歳までの間で自分で選ぶことができ、1カ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額され、その増額率は生涯続きます。ただし、繰り下げている間は年金を受け取れないため、その間の生活費をどう賄うかを併せて考えておく必要があります。

また、ねんきんネットのシミュレーション機能を使えば、繰下げ受給を選んだ場合の見込み額や、税・社会保険料を差し引いた後のおおよその手取り額も確認できます。特に単身の方は、自分の年金だけで生活費をまかなえるかどうかを早めに具体的な数字で把握しておくことが、老後の安心につながります。

参考資料

加藤 聖人