8月は年金支給月にあたり、老後の収入や公的年金の仕組みを改めて確認する人も多い時期です。
厚生労働省の資料によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額は、男女全体で15万289円となっています。
では、この「月15万円」というラインを実際に超えて受け取っている人は、全体のどれくらいいるのでしょうか。
そして、この割合を男女別に見ると、実は大きな差が存在します。特に、非正規雇用の期間が長かった単身女性にとっては、「独身だから、いざとなれば何とかなる」という感覚では見過ごせない現実が、データから浮かび上がってきます。
本記事では、公的年金制度の基本を整理したうえで、厚生年金を月額15万円以上受け取っている人の割合について、男女別のデータをもとに詳しく見ていきましょう。
1. この記事の3つのポイント
-
厚生年金で月15万円以上の受給者は全体の約49.8% -
15万円以上の割合は男性68.8%に対し女性は12.3% -
年金は手取り額の確認と早期の試算・準備が重要
2. 【よくある勘違い】「独身だから何とかなる」で済ませていませんか?
単身女性の方から老後資金についてご相談を受けることもありますが、その中でよく感じるのが「結婚していないから、生活を切り詰めれば自分一人くらい何とかなる」という感覚で、年金額の実態を深く確認していない方が少なくないという点です。
後ほど確認するとおり、厚生年金を月額15万円以上受け取っている人の割合は、男性が約68.8%であるのに対し、女性は約12.3%にとどまります。
この差は、現役時代の賃金水準の違いだけでなく、非正規雇用期間の長さや、厚生年金への加入期間の差が大きく影響していると考えられます。
単身の場合、配偶者の年金や退職金といった「もう一つの収入源」がない分、自分自身の年金見込み額を早い段階で正確に把握し、不足が見込まれるならiDeCoやNISAなどでの上乗せを検討しておくことが、より重要になります。
「独身だから」という理由で確認を後回しにするのではなく、むしろ独身だからこそ、自分の年金額を早めに具体的な数字で把握しておくことが大切です。
3. 公的年金の「2階建て構造」をおさらい
具体的なデータを確認する前に、まずは日本の公的年金制度がどのような仕組みになっているのか、基本構造を整理しておきましょう。
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」を中心とした2階建て構造です。
1階部分にあたる国民年金は、原則として20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。2階部分の厚生年金は、会社員や公務員などが加入し、国民年金に上乗せする形で支給されます。
3.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】
- 対象:20歳以上60歳未満の全国民
- 保険料:2026年度は月額1万7920円(一律)
- 受給額:40年間保険料を納めると、満額で月額7万608円(2026年度基準)
国民年金は、自営業者やフリーランス、学生、無職の人だけでなく、会社員や公務員も加入する、公的年金制度の土台です。保険料は全員一律で、保険料を納めた期間に応じて受給額が決まります。
3.2 【第2階部分:厚生年金】
- 対象:会社員、公務員など
- 保険料・年金額:現役時代の収入や加入期間によって決まる(個人差あり)
- 将来受給する年金:国民年金に加え、厚生年金も上乗せして受け取る
厚生年金は、給与や賞与といった「報酬」に応じて保険料が決まる「報酬比例制」です。そのため、現役時代にどちらの制度に、どれだけの期間加入していたかによって、将来受け取る年金額には大きな個人差が生じます。
前章で触れた男女差も、この加入期間や賃金水準の違いが土台になっています。
