5期の比較でわかる変化

過去5期を並べると、利益の質が変わってきたことがわかる。営業利益は5期前の1,325億円から前期の3,599億円へ増え、その間に営業利益率はおよそ4%から10%へ、ROEも10%前後から13%へと切り上がった。

売上高そのものは大きく伸びていない。伸びたのは収益性だ。規模を追うのではなく採算を上げる経営に、重心が移ってきたと読み取れる。

資本の使い方にも変化が見て取れる。かつて多く抱えていた政策保有株を、この数年で緩やかに圧縮してきた。事業の採算改善と、資本効率を意識した資産の見直しが並行して進んでいる。

利益率の改善が続き、余分な資産が絞られていけば、ROEはさらに一段高い水準まで上がる可能性がある。実際にそれが起こるのか、そしてそれが起こる場合、市場の評価がそこにどう追いつくかが、次の論点になるだろう。

筆者コメント

NECの収益構造は、いま変わりつつあると考える。

総合電機というと、多くの事業を抱えて薄く広く稼ぐ、効率を上げにくい業態という印象が根強い。だがNECの数字は、その印象と逆の方向へ動いてきた。規模はほぼ横ばいのまま、収益性は着実に上がっている。整理すべき事業を整理し、伸ばすべき領域に絞る。王道にして効く手を、数期かけて積み重ねてきた結果だろう。

面白いのは、これだけ中身が変わっても、市場からの評価がつい最近まで不安定だったような点だ。7月30日の大幅高は、その半信半疑が解消し始めた兆しなのかもしれない。

だとすれば、これから見るべきは派手な増益率よりも「売上が不調な局面でも利益率の下げが限定的となるかどうか」だ。構造転換が本物なら、不況期の利益率にこそ差が出る。改善の持続性を決算のたびに確かめていきたい。

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石津 大希