1. この記事を読むとわかる3つのポイント

  • 1Q(4-6月)は売上高6,727億円(+22.6%)と増収も、燃油費増加等で営業利益は207億円(▲43.5%)と大幅減益
  • 通期の連結業績予想は2026年4月30日公表から変更なし
  •  株主優待制度は2026年度上期分から拡充。基本的な優待内容と、株価下落の背景を整理

22026年7月30日の東京株式市場は、日経平均株価が3日ぶりに反発するなか、ANAホールディングス(9202)の株価は3,153円(前日比▲68円、▲2.11%)と4日ぶりに反落して取引を終えました。

前日の7月29日に発表された2027年3月期第1四半期決算は、増収は確保したものの、営業利益が前年同期から大きく落ち込む内容となっており、失望売りを誘いました。

減益の大きな要因は「燃油費の増加」です。

この記事では、この1Q決算の中身と、株主優待制度の内容を整理します。

2. 決算のおさらい:増収も営業利益は43.5%減

2027年3月期第1四半期(2026年4月1日〜6月30日)の連結業績は、売上高6,727億円(前年同期比+22.6%)、営業利益207億円(同▲43.5%)、経常利益225億円(同▲37.3%)、四半期純利益194億円(同▲15.4%)となりました。増収を確保した一方、営業利益・経常利益・純利益はいずれも前年同期を下回っています。

2.1 ANAホールディングスの事業構成

ANAホールディングスの事業は、航空事業・航空関連事業・旅行事業・商社事業・その他の5つに分かれます。

中核の航空事業は売上高6,208億円(前年同期比+24.9%)と大きく伸びた一方、営業利益は181億円(同▲48.7%)とほぼ半減しました。国際線旅客・貨物が好調に推移したほか、前年に連結子会社化した貨物専門会社NCAの収入も加わり増収となりましたが、燃油費等のコスト増加(燃油費・燃料税869億円増)が利益を圧迫した形です。

2.2 増収を支えたのは国際線需要の回復

国際線旅客の利用率は前年同期比5.7ポイント上昇の85.1%、旅客数は14.3%増となり、訪日需要や日本発のレジャー需要を積極的に取り込んだことが増収に寄与しました。国際線貨物も、半導体関連の旺盛な需要やNCAの収益貢献により、貨物収入は583億円(同+37.9%)と伸びています。

3. セグメント別分析

それではセグメント別に分解してみましょう。

3.1 航空関連事業は増益、旅行事業は黒字転換

航空関連事業は売上高926億円(前年同期比+7.4%)、営業利益49億円(同+54.3%)と増収増益。旅行事業は売上高139億円(同▲9.3%)と減収でしたが、コストマネジメントの徹底により営業利益1億円(前年同期は営業損失2億円)と黒字転換しました。商社事業は売上高374億円(同+7.9%)と増収でしたが、人件費増加等により営業利益は10億円(同▲19.8%)と減益でした。

3.2 通期見通し・配当は据え置き

通期の連結業績予想は、2026年4月30日公表から変更されていません。売上高2兆7,700億円(前期比+9.1%)、営業利益1,500億円(同▲31.0%)、経常利益1,370億円(同▲37.6%)、純利益960億円(同▲43.2%)の計画です。配当は、前期(2026年3月期)の年65円から、今期は年60円(第2四半期末30円、期末30円)を予定しています。

国際線需要は回復していますし、旅行事業も黒字転換を果たしています。にもかかわらず減益となった背景には、燃油費等のコスト増加(燃油費・燃料税869億円増)が重くのしかかっていることが読み取れます。

4. ANAホールディングスの7月30日のマーケット概況

引け時点の株価指標は以下の通りです(2026年7月30日 東証終値時点)。

  • 終値:3,153円(前日比▲68円、▲2.11%)
  • 出来高:494万1,700株
  • PER(会社予想):14.90倍
  • PBR(実績):1.10倍
  • 配当利回り:1.90%
  • 時価総額:1兆5,269億円

5. 株主優待制度は2026年度上期分から拡充

ANAホールディングスは、毎年3月末・9月末の基準日時点で普通株式を100株以上保有する株主を対象に、ANAグループ各社・提携先企業で使える株主優待を用意しています。主な内容は次の通りです。

  • ANA国内線「株主優待割引」:基準運賃から50%割引
  • ANA国内線「シンプル」運賃割引:「シンプル」運賃から5%割引(同一予約全体・エコノミークラス対象)※2026年度上期分から新設
  • Peach国際線ご搭乗優待(期間限定):日本発の国際線が4,000円割引(スタンダード・スタンダードプラス運賃対象)※新設
  • 国内・海外ツアー商品ご優待:10%相当の割引(国内ホテルは2%割引)
  • 株主限定ツアー:株主向け特別ツアーの案内

そのほか、お買い物・施設見学会・ゴルフ・ホテルなどの優待も用意されています。

割引の利用には、株主様専用サイトで受け取れる割引コード(国内線は「プロモーションコード」、Peachは「ピーチポイント番号」)が必要です。

また、2026年度上期分からは、多くの株式を長期間保有する株主向けに「大口・長期保有優遇制度」が新設され、ANAの上級会員制度「ダイヤモンドサービス」メンバー特典の一部が付与されるようになりました。なお、2027年度上期分からは「株主優待番号ご案内書」の発行枚数ルールが変更される予定と案内されています。

保有株数ごとの優待枚数や大口・長期保有優遇の具体的な条件など、詳細はANA公式サイトで確認してください。

ANAHDの優待まとめ1/1

ANAHDの優待まとめ

出所:公式サイトより筆者作成

6. 記者の視点

1ドル164円をうかがう円安進行を背景に、国際線需要を取り込んで売上高は過去最高を更新、一方で燃油費増加によって大幅な減益となりました。

中東情勢の悪化による原油高騰で、コスト増は予想される内容でしたが、前日までの株価上昇で利益確定の売りが出やすかったことなども影響したとみられます。

通期見通しは据え置かれていますが、今後のコスト動向や需要動向にも注目しておきたいポイントです。

また、国内線で導入した新運賃体系について、利用者のあいだで混乱が広がっており、こちらがしっかり浸透するかも今後の利用者獲得のカギを握りそうです。

【免責事項】

  • 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の株式の購入や売却について助言や推奨するものではありません。本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
  • 株主優待の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください

参考資料

 

高原 祥子