2026年度は年金額の改定があり、モデル夫婦(夫が平均的な収入で40年間就業し、妻が専業主婦だった世帯など)の厚生年金は月23万7279円になっています。
ただし、実際に夫婦2人の年金だけで暮らせるかどうかは、それぞれの職歴や家計の支出構造で大きく変わります。2026年7月に公開された「厚生労働省の2025年国民生活基礎調査」では、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の約6割が「総所得の80%以上を公的年金に依存」していることもわかっています。
この記事では、夫婦2人世帯の年金額と、年金への依存度の実態について、元公務員の筆者の視点から整理していきます。
筆者は元公務員として、国民健康保険と後期高齢者医療の保険料を担当していた頃、夫婦2人の年金だけで暮らす世帯からの相談を数多く受けてきました。制度そのものより「実際の家計にどう効いてくるのか」を意識していただけるよう、まずは全体像から見ていきましょう。
1. 【夫婦の年金】この記事の3つのポイント
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モデル夫婦の厚生年金は2026年度で月23万7279円。実際の受給額は夫婦それぞれの職歴で差が生まれる -
公的年金・恩給を受給する高齢者世帯の約6割は、総所得の80%以上を公的年金に依存している -
65歳以上のいる世帯の3割は「夫婦のみ」、3割超は「単独」。世帯構造の変化も家計に影響する
2. 夫婦2人の公的年金は「月約24万円」。ただし世帯ごとの差は大きい
2026年度の年金額改定によって、夫婦2人分の年金額は次の水準が目安になっています。
- 国民年金(老齢基礎年金):月7万608円(1人分※1)
- 厚生年金(夫婦2人分の標準的な年金額):月23万7279円
※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は月7万408円。
厚生年金の「夫婦2人分の標準的な年金額」は、夫が平均的な収入で40年間就業し、妻がその期間ずっと専業主婦だったモデル世帯を前提とした金額です。
実際は共働き期間の長さ、自営業者だった時期の有無、扶養に入っていた期間などによって、夫婦の年金額は世帯ごとに大きく変わります。
2026年6月支給分の改定内訳や、月30万円以上受給する人の割合、公的年金にまつわる誤解についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【厚生年金】2026年6月支給分から「標準的な夫婦世帯」の年金額が4495円アップ!支給日に「60万円(月30万円)以上」受給する人は全体の何%?
3. 高齢者世帯の6割近くが「年金への依存度80%以上」
夫婦2人の年金額の目安がわかったところで、次に見ておきたいのが「実際に高齢者世帯は年金にどこまで頼っているのか」というデータです。
厚生労働省の「2025年 国民生活基礎調査の概況(所得の状況)」に、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における「公的年金・恩給が総所得に占める割合」別の世帯構成(図11)が示されています。
- 20%未満:4.2%
- 20〜40%未満:9.7%
- 40〜60%未満:13.6%
- 60〜80%未満:14.1%
- 80〜100%未満:17.1%
- 100%(すべてが公的年金・恩給):41.3%
ここから読み取れるのは、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、「総所得の80%以上を公的年金に依存している世帯」が58.4%、「100%(総所得のすべてが公的年金・恩給)」の世帯が41.3%を占めているという点です。
年金以外の収入源が乏しい世帯が、それだけ多いことがうかがえます。
4. 65歳以上のいる世帯の3割は「夫婦のみ」、3割超は「単独」
夫婦2人の年金と依存度を考えるうえで、もう一つ押さえておきたいのが世帯構造の変化です。同じ2025年国民生活基礎調査(世帯数と世帯人員の状況)から、65歳以上のいる世帯の内訳を見てみます。
- 単独世帯:33.8%
- 夫婦のみの世帯:32.0%
- 親と未婚の子のみの世帯:20.1%
- 三世代世帯:5.8%
- その他の世帯:8.3%
1986年時点では三世代世帯が44.8%を占めていましたが、2025年には5.8%まで減少しました。反対に、単独世帯は13.1%から33.8%、夫婦のみ世帯は18.2%から32.0%へと大きく伸びています。
子や孫と同居せず、夫婦2人あるいはひとりで暮らす高齢者が多数派になった時代背景がわかります。
こうした「夫婦2人だけの家計」を年金でまかなう世帯が増えているからこそ、月々の年金額と依存度は、老後の生活を考えるうえで避けて通れないテーマといえます。
「年金は入っているのに、なぜ手取りがこんなに少なくなるのか」という声は、多くの方に共通する疑問でした。次のページでは、年金から自動的に引かれるお金の内訳を整理していきます。

