物価が上がり続けるなか、「低所得世帯向けの給付金、うちでも受けられないだろうか」と気になっている人もいるかもしれません。

ただ、2026年度は国による一律の現金給付が実施されていません。過去に実施されていた住民税非課税世帯向けの3万円給付も、2025年度分で受付は終了しています。

この記事では、2026年度における低所得世帯向け給付の現状と、6月に届いた住民税決定通知書をあらためて見返す価値について、元公務員の筆者の視点から整理します。

1. 2026年度「低所得世帯向け給付」この記事の3つのポイント

  •  2026年度は国による一律現金給付なし。過去の3万円給付は2025年度分で受付終了
  •  代わりに動くのは「重点支援地方交付金」を原資にした自治体独自の給付
  •  自治体独自の給付を見つける3ルートは「公式サイト」「広報誌」「窓口」

2. 2026年度、国の低所得世帯向け一律給付は終わっています

ここ数年、住民税非課税世帯向けに3万円や7万円といった現金給付が実施されてきました。ただ、2026年度に入り、その形は大きく変わっています。

2.1 国による一律現金給付は令和8年度予算に含まれず

2026年6月に成立した令和8年度補正予算では、個人向けの一律現金給付は盛り込まれていません。過去の住民税非課税世帯向け3万円給付も、2025年度分で受付は終了しています。

電気・ガス料金の負担軽減は2026年7〜9月分で継続する形が取られていますが、これは事業者経由の料金値引きであり、世帯単位で現金が届く給付とは性格が異なります。

2.2 代わりに動いているのが「自治体が独自に使える『地方への交付金』の仕組み」

国が「重点支援地方交付金」を配り、それを原資に自治体が独自に給付内容を設計する形になっています。

そのため2026年度は、給付があるかどうか、いくらか、対象は誰か、が自治体ごとに違うのが実情です。

3. 住民税非課税世帯かどうかは、毎年6月に決まる

給付の対象になるかどうかの分かれ目は「住民税非課税世帯かどうか」ですが、この判定は毎年決まり直されます。手元の通知書を見返すタイミングと言えるでしょう。

3.1 非課税ラインは「地方税法の非課税基準」で決まる

住民税均等割の非課税限度額は、地方税法上の計算式(生活保護基準等をもとにした一定の算式)で決まっています。所得税の基礎控除が引き上げられても、住民税の非課税限度額が上がるわけではありません。

つまり、非課税判定のラインは「税制改正で基礎控除が動いた年」に必ず動くとは限りません。自分の世帯が非課税かどうかは、実際に届いた通知書で確認するのが確実です。

3.2 非課税になる年収の「だいたいの目安」

令和8年度分の住民税は、令和7年(2025年)中の所得に基づいて判定されます。会社員(給与所得のみ)の場合、独身の目安は年収110万円あたりが均等割非課税かどうかの分かれ目です。

給与所得控除の見直しに伴い、令和7年度までの100万円から少し引き上がった形になります。

配偶者や扶養親族がいる世帯は、この目安がさらに広がります。ただし、級地区分や扶養親族の人数によって計算式が変わるため、正確なラインはお住まいの自治体HPで確認するのが確実です。

自営業や年金受給者の場合も、所得の計算方法が違うため注意が必要です。

住民税均等割が非課税になる年収の目安1/1

住民税均等割が非課税になる年収の目安

出所:LIMO編集部作成

3.3 令和8年度分の通知は2026年6月頃に届いている

毎年6月頃、自治体から「令和8年度分 住民税決定通知書」が届きます。この通知書の均等割・所得割の欄で、自分の世帯が課税なのか非課税なのかを確認できます。

住民税非課税かどうかは、給付金の対象要件だけでなく、国民健康保険料の軽減、医療費の自己負担上限額の区分、介護保険料の段階など、複数の制度に連動して効いてきます。

まずは手元の通知書を一度見返しておくと安心です。

太田 彩子

住民税非課税世帯かどうかは、給付金だけでなく国民健康保険料や医療費、介護保険料にまで連動します。「今年から自分の世帯はどう扱われているのか」を、6月に届いた通知書で一度確かめておくと、この先の制度を活用しやすくなりますよ。

4. 【元公務員の実感】自治体ごとに給付内容は驚くほど違います

元公務員として国民健康保険等を担当していた頃、窓口で「他の市ではこういう給付があると聞いたが、うちではどうか」と尋ねられる場面がありました。実際に隣の自治体と自分の自治体で、給付内容がまったく違うことも珍しくありませんでした。

4.1 「一律現金」だけではない多様なメニュー

現金給付だけでなく、水道料金の減免、エアコン購入費補助、灯油購入券、子どもの入学準備金、プレミアム付き商品券など、自治体独自の切り口はさまざまです。

給付額も1世帯5000円のところから3万円を超えるところまで幅があり、対象要件も「住民税非課税世帯」だけでなく、「均等割のみ課税世帯」まで含める自治体もあります。

「うちの給付は他所より少ない」と感じることもあるかもしれませんが、これは財源となる交付金の配分や自治体の判断で決まっているため、単純な比較は難しい部分です。

4.2 実際にどんな給付がある?兵庫県洲本市の例

たとえば兵庫県洲本市では、令和8年度(2026年度)に「食料品高騰対応特別給付金」として、市に住民登録のある全世帯を対象に、世帯員1人あたり7000円を支給しています。4人家族なら2万8000円と、決して小さくない額です。

洲本市の給付でもう一つ特徴的なのは、対象者が3種類に分かれている点です。公金受取口座を登録済みの人には「支給のお知らせ」だけで振り込まれる一方、口座未登録の人は「要登録」で書類提出が必要となり、市が現時点で把握していない対象者には「要申請」で申請書を出す必要があります。

同じ市の同じ給付でも、動く必要がある人と、待っていれば届く人が分かれるということです。

こうした「対象は幅広いが、動き方は人によって違う」という設計は、他の自治体でもよく見かけます。「うちは対象外だろう」と決めつけず、まずは自治体のHPで実際の要件を確認するのが確実です。

5. 【探し方】3つのルートを組み合わせるのが確実です

自治体独自の給付は「知っている人しか受け取れない」と言われる場面もあります。次の3ルートを組み合わせるのがおすすめです。

5.1 ルート1 自治体公式サイトの「新着情報」欄

トップページの「新着情報」「お知らせ」欄に、給付金関連の告知が出ることが多いです。サイト内検索で「給付金」「支援」「非課税」といったキーワードで探すのも有効です。

5.2 ルート2 広報誌・広報紙

毎月届く自治体の広報誌は、給付金や補助金の情報源として意外と侮れません。ホームページより先に広報誌で告知される給付もあり、紙媒体の存在感は残っています。

5.3 ルート3 電話・窓口での問い合わせ

分からないときは電話で聞くのが早いです。「低所得世帯向けの給付は今なにか実施されていますか」と尋ねれば、担当課に取り次いでもらえます。総合案内でも、住民税課でも、福祉課でも、入り口はどこでも構いません。

6. 【落とし穴】「確認書が来ない」タイプに要注意です

給付金には、対象者に自治体側から「確認書」が届く方式(プッシュ型)と、対象者自身が申請書を出す必要がある方式(申請型)があります。この違いを知っておくかどうかで、受け取れる給付を取り逃す確率が変わります。

6.1 対象要件が細かい給付ほど「申請型」になりやすい

住民税非課税世帯向けの現金給付は、対象者リストを自治体が持っているため確認書が届くことが多いです。一方、エアコン購入補助や灯油券のような特定用途の給付は、条件が細かく設定されているため、対象者自身が申請書を出す方式が主流です。

対象になっていても申請しなければ受け取れない、というのが「申請主義」の実態です。

6.2 申請期限は意外と短いことも

「令和8年度中まで」など年度単位で区切られる場合が多いですが、なかには「◯月末まで」と数か月しか窓口が開いていない給付もあります。気になる給付を見つけたら、まず申請期限をメモしておくと安心です。

7. まとめ 「知ってから」始まります

2026年度は国の一律給付が実施されていないため、自治体独自の給付があるかどうかで、家計の負担感が地域によって変わりやすい年になっています。

給付が「ある/ない」よりも「知っている/知らない」で結果が変わってしまうのが、公務員として現場にいた頃の実感です。

何か手掛かりが欲しいと感じたら、まずはお住まいの自治体の広報誌かHPを確認し、それでも分からなければ窓口に直接尋ねてみることをおすすめします。

参考資料

太田 彩子