配当は減配局面を経て復配見通しへ

見るべきは、こうした業績悪化局面の中で、配当水準もダイナミックに動いてきた点ではないでしょうか。

分割調整後の1株配当は2021年12月期の50円から、2022年12月期100円まで積み上がったのち、2023年12月期60円、2024年12月期40円、2025年12月期40円と減配傾向が続きました。翌2026年12月期は60円の予想が示されており、業績回復と連動した復配の姿が確認できます。

純資産配当率(DOE)は2.75%と、化学中央値の2.47%を上回っています。減配局面を経ても、絶対的な還元厚みは業種内では平均並みの位置を保っている姿です。

株価は1年で大きく上昇、業績反転を先取り

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出所:各種資料をもとに筆者作成

株価の直近1年(月末終値ベース、参照期間は2025年8月末〜2026年7月執筆時点)の推移は、業績の底打ち・反転を先取りする姿となりました。

2025年8月末は2,400円台で推移していた後、緩やかな上下を経て、2026年2月末には直近1年の中で最も高い水準である3,300円台まで一気に切り上がりました。

その後は下押しに転じ、2026年6月末には2,600円台まで戻す場面がありましたが、2026年7月には再び3,200円台まで戻しています。起点の2025年8月末と直近を比べますと、1年トータルでは大きな上昇となりました。

過去5年で見た株主総利回り(TSR)は0.36倍と、同期間のTOPIX 2.13倍を大きく下回っています。長期では過去のピーク水準から大きく調整してきた累積過程にありつつ、直近1年の動きはその位相の中での底打ちシグナルとも読み取れる姿です。

筆者コメント

一般に「化粧品大手はディフェンシブでボラティリティが低い」というイメージが投資家の間で先に立ちがちです。しかし同社の過去5期の利益トレンドや、2025年12月期の赤字転落の姿は、必ずしもその通念どおりではありません。事業ポートフォリオの構成や地域別売上のバランスによって、化粧品業界の中でも銘柄ごとに業績の位相が大きく異なる姿として読み取れます。

一方で、株価が業績反転を先取りして動く姿は、赤字転落局面から回復局面への移行を市場が織り込んでいる兆しとも受け止められます。翌期予想の黒字転換見通しと第1四半期の実績を重ねますと、業績実勢が徐々に株価水準に追いつく段階にあるとも読み取れます。

赤字転落を経た銘柄を眺めるときは、直近単期の実績だけでなく、過去数期の下降トレンドの深さと、市場が織り込んでいる回復シナリオの整合性を同時に見ていく着眼点が有効ではないでしょうか。

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石津 大希