スマートフォンの普及により、支出が多くなっている中高生。彼らが描く30歳時点でのマネープランとは?2019年8月に「ソニー生命保険株式会社」が発表した1,000名の中高生(中学生200名・高校生800名)に向けて実施した「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」から、中高生のお小遣い事情、またマネーリテラシーに関する内容をピックアップ。大人たちが冷や汗をかくような意外な結果とは?

中高生が今イチバン欲しいものは「お金」

まずは同調査における「いま、すぐに欲しいもの(自由回答形式)」という質問項目の集計結果を見てみましょう。以下に、上位5位をまとめました。

【中学生(n=200)】
・第1位:お金(71)
・第2位:パートナー(12)
・第3位:スマートフォン(8)
・第4位:時間(7)
・第5位:パソコン(6)
・第5位:好きな有名人のグッズ(6)
※()内は回答数(以下、同様 )

【高校生(n=800)】
・第1位:お金(269)
・第2位:学力・頭脳(46)
・第2位:時間(46)
・第4位:パソコン(31)
・第5位:パートナー・恋人(28)

中高生ともに、「お金」が1位を獲得。2位以降は概ね中学生らしい、高校生らしい結果となりました。無論、お金は誰もが欲しいものですが、なぜここまで2位と差を付けたのか。筆者は2つの仮説を立ててみました。

・一昔前に比べ、日常生活において「支出」の機会が増えている
・家庭の教育方針から「小遣いを渡さない世帯」が一定数ある
「金融広報中央委員会」が運営する「知るぽると」が2018年に行った調査では、中学生の平均小遣い額は2,536円/月、高校生は6,288円/月という結果になりました。また2001年以降、中高生の平均小遣い額は、ほぼ横ばいです。小遣い額は変わらないのに、お金がなければ楽しめない娯楽は増え続けています。

例えば、欲しいゲームを買ったり、漫画を買ったり、友達とファストフード店でお喋りしたりと、何をするにもお金がかかるもの。上記の額が確かならば、周りに合わせている内に「お小遣いが足りない……」となるのは必然でしょう。

また、小遣いそのものを渡さない世帯も少なくありません。あるマーケティング会社が2017年に実施した調査によると、「お小遣いをもらっている」と回答した中学生(n=145)は52.4%、高校生(n=301)は53.8%という結果に。中高生ともに、半数近くがお小遣いをもらっていないことがわかりました。よって「そもそもお小遣いがないから欲しい!」という子どもの意見も、同調査結果に反映されているのでしょう。いずれにしても、お金が欲しいのは、大人・子どもの共通意見のようですね。

【30歳時点】理想の年収と貯蓄額

「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」において、30歳時点での目標年収・貯蓄額・希望小遣い額も集計されていました。それぞれ結果を見ていきましょう。

【30歳時点での目標年収(n=674)】
・中学生:平均854万円
・高校生:平均761万円

【30歳時点での目標貯蓄額(n=635)】
・中学生:平均1,075万円
・高校生:平均921万円

【30歳時点での希望小遣い額(n=664)】
・中学生:平均7.3万円
・高校生:平均5.9万円

あくまでも“目標”とするならば、現実味を帯びた回答ではないでしょうか。中学生より高校生の目標年収・貯蓄額・小遣い額が少ないのも、ある程度社会に触れたり、マネーリテラシーを身につけたりした結果と考えられます。ただし、希望小遣い額に関しては、全国のお父様方が「いやいや……」と苦笑いするような結果です。

「新生銀行グループ」がリリースした「2018年サラリーマンのお小遣い調査」によると、30代の男性会社員の平均小遣い額は、36,146円となりました。また30代の女性会社員の平均小遣い額は、32,835円でした。30歳時点での年収や所帯の有無、家庭の懐事情にもよるでしょうが、中高生が希望する小遣い額は、中々ハードルが高いのではないでしょうか。

日本の中高生は「お金の教育」が足りない?