夏のボーナス支給から少し時間が経ち、使い道や夏の出費計画も一巡する8月。秋からの生活に向けて家計の棚卸しをするなかで、「うちの貯蓄は、同世代と比べて多いのか、少ないのか」と疑問を抱く方も多いかもしれません。

30歳代から60歳代まで、収入も家族の形も変わるなかで、貯蓄の目安も移り変わります。まずは年代ごとの平均と中央値をものさしに、わが家の位置を確かめてみましょう。

今回は、30〜60歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値を年代別に確認し、その背景にある「世帯の所得」もあわせてみていきます。

中本 智恵
銀行の窓口で数多くのご家庭の家計を拝見してきて感じるのは、収入がほとんど同じでも、貯まる世帯とそうでない世帯があるということです。差を生むのは、入ってきたお金のうち、どれだけを将来に回せるか。まずは世帯全体のお金を「見える化」することが第一歩でした。

なお、年代別の貯蓄額データに関する詳しい解説は下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくらか?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認
【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくらか?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」 差が生まれる3つの要因を確認

1. この記事を読んだらわかる3つのポイント

  •  30〜60歳代二人以上世帯の貯蓄を、年代を追って平均・中央値で確認
  •  世帯タイプでこんなに違う平均所得(令和7年 国民生活基礎調査)
  •  「稼ぐ力」を貯蓄に変える、夫婦での家計づくりのヒント

2. 【30〜60歳代二人以上世帯の平均貯蓄額】中央値はいくらか?

金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2025年に公表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、二人以上世帯の金融資産保有額(平均・中央値)は、年代ごとに次のとおりです。

※金融資産保有額とは、預貯金だけでなく株式、投資信託、生命保険などを含んだ金額です。ただし、日常的に使う普通預金の残高は含まれていません。

2.1 30歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)

中本 智恵
30歳代は住宅取得や出産・育児が重なりやすく、支出が一気に増える時期です。この時期に無理に貯蓄額を追うより、まずは家計の支出を把握しておくことが、40歳代以降の伸びにつながると感じています。
  • 30歳代二人以上世帯:平均1096万円/中央値311万円

平均1096万円・中央値311万円。住宅取得や子育てが始まる時期で、蓄えの差はまだ小さめですが、貯蓄がない世帯も17.6%あります。2000万円以上は12.5%です。

2.2 40歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)

中本 智恵
40歳代は教育費と住宅ローンが同時にのしかかる、家計が最も苦しくなりやすい時期です。それでも貯蓄額の中央値が30歳代からほぼ倍増しているのは、この時期に少しずつでも積立を続けた世帯が多いことの表れだと感じます。
  • 40歳代二人以上世帯:平均1486万円/中央値500万円

平均1486万円・中央値500万円。教育費と住宅ローンが重なる時期で、2000万円以上は21.3%、貯蓄のない世帯は18.8%。世帯ごとの差が広がり始めます。

2.3 50歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)

中本 智恵
50歳代は教育費の負担が徐々に軽くなり、老後を意識して貯蓄を積み増す方が増える時期です。窓口でも「そろそろ本格的に老後資金を考えたい」というご相談が増えるのが、ちょうどこの年代でした。
  • 50歳代二人以上世帯:平均1908万円/中央値700万円

平均1908万円・中央値700万円。子育てが一段落し、貯蓄を積み増す世帯が増える時期で、2000万円以上は26.9%。一方で貯蓄のない世帯も18.2%残ります。

2.4 60歳代二人以上世帯の貯蓄額(平均・中央値)

60歳代の貯蓄円グラフ4/4

60歳代の貯蓄円グラフ

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

中本 智恵
60歳代で中央値が1400万円まで伸びるのは、退職金の影響が大きいと考えられます。ただし退職金の有無や金額は勤め先によって差が大きいため、ご自身の退職金制度がどうなっているか、早めに確認しておくことをおすすめします。
  • 60歳代二人以上世帯:平均2683万円/中央値1400万円

平均2683万円・中央値1400万円。退職金が加わり、2000万円以上が39.6%に増えます。ただし貯蓄のない世帯も12.8%おり、老後の入口で世帯差がはっきりします。

どの年代も、平均が中央値を上回っています。まとまった資産を持つ世帯が平均を押し上げているためで、多くの世帯の実感に近いのは中央値のほう。まずは自分の年代の中央値と見比べて、わが家の現在地をつかんでおきましょう。