3. 働き方でどう変わる?女性の年金を3つのモデルケースで比較
厚生労働省が公表した「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」を参考に、より現実に近い女性の働き方別の年金受給額の目安を見ていきましょう。
ご自身の経歴に近いモデルケースを確認してみてください。
3.1 ライフコース別・女性の年金月額目安
ケース1:キャリアを重視した女性の場合
- 想定: 平均年収約427万円で33年間就業
- 年金月額の目安: 13万4640円
ケース2:自営業として働いた女性の場合
- 想定: 厚生年金加入期間約6.5年
- 年金月額の目安: 6万1771円
ケース3:専業主婦の期間が長かった女性の場合
- 想定:厚生年金加入期間約6.7年
- 年金月額の目安: 7万8249円
3.2 男性のモデルケースとの比較でわかる年金額の差
現役時代の働き方によって、将来の年金額に数万円単位の差が生じることがわかります。
また、厚生労働省「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」における男性のモデルケースと比較すると、男女間の受給額の違いも明らかになります。
男性で「会社員経験が長い(厚生年金が中心)」ケースでは、平均収入50万9000円(年収約610万円)で39.8年就業したパターンで、年金月額の目安は17万6793円と試算されています。
キャリアを重ねた女性のモデル(13万4640円)と比べると、月額で約4万2000円の差があります。
これは、就業期間の長さ(男性約40年、女性33年)や、現役時代の平均年収の違いが影響していると考えられます。
一方で、「自営業・フリーランス(国民年金が中心)」の男性の目安は6万3513円であり、同じく国民年金が中心の女性(6万1771円)との間に大きな差は見られません。
国民年金は加入期間に応じて定額で計算されるため男女差が出にくい一方、報酬比例である厚生年金では、就業期間や収入の差が老後の受給額に直接影響します。
女性の場合、出産や育児などのライフイベントによって就業期間が短くなったり、働き方を調整せざるを得ない期間が生じやすかったりすることが、男女の厚生年金受給額に差がつく一因といえるでしょう。
同じ世代でも働き方によって受給額は大きく異なるため、公的年金以外の収入源を確保するなど、ご自身の年金加入状況に合わせた資金計画が重要です。
働き方で年金額がこんなに違うの?」と驚かれた方もいるかもしれませんね。
実は今、パートで働く女性にとって追い風となる年金制度の改正が進んでいるのをご存じでしょうか。
パート・アルバイトの方が厚生年金に入るには「従業員数」などの壁がありましたが、これが段階的に縮小・撤廃されています。
将来的には「週20時間以上」働けば、勤務先の規模に関わらず厚生年金に加入できるようになる見込みです。
社会保険料が引かれることで目先の手取りが減ることを懸念する声もありますが、将来の「2階部分」を手厚くできる大きなチャンスでもあります。
目先の収入だけでなく、「将来の年金という履歴書」をどう作っていくか。国の制度動向をしっかりチェックしながら、自分らしいキャリアを探していきたいものです。
4. 女性の働き方と老齢年金の密接な関係性とは
日本の年金制度は、国内に住む20歳以上のすべての人に加入義務がありますが、働き方によって加入する年金制度が異なります。
国民年金の被保険者は「第1号被保険者」から「第3号被保険者」までに区分されています。
一般的には、20歳以降の学生時代は第1号被保険者として国民年金に加入し、社会人になって企業に就職すると厚生年金の対象となる方が多いでしょう。
その後、結婚や出産・育児、親族の介護といったライフステージの変化があった際に、働き方を変えるのは依然として女性が多いのが現状です。
結果として女性が専業主婦や扶養内パートなどで働く場合、国民年金の対象となります。厚生年金の対象となる働き方を続けた場合とでは、老後の年金にどのくらいの差が生まれるのでしょうか。
私自身、フリーランスとして働いていた時期がありますが、自営業やフリーランス(第1号被保険者)は国民年金のみとなるため、将来の受給額が会社員より少なくなりがちです。モデルケースの比較でも一目瞭然ですね。
そのため、第1号被保険者の方には、月額400円の保険料を追加して将来の年金額を増やす「付加年金」や、「国民年金基金」
といった制度が用意されています。
とくに付加年金は「2年間受け取れば元が取れる」計算になる、知る人ぞ知るお得な制度です。
働き方が多様化する現代だからこそ、自分の働き方に合った制度をフル活用して、賢く老後に備えましょう。
5. まとめ:自身のライフプランに合わせた老後資金の準備を
厚生労働省の「簡易生命表」によると、平均寿命は依然として延びる傾向にあります。
一方で、健康上の問題で日常生活に制限なく生活できる期間を示す「健康寿命」と平均寿命の間には、一定の差があるのが実情です。
老後の期間が長くなるほど、生活資金として準備しておくべき金額も大きくなります。
人の助けが必要な期間や、要介護状態が長く続く可能性を考えると、日々の生活費だけでなく介護費用への備えも意識しておきたいところです。
近年は核家族化や単身世帯の増加により、次の世代に介護を頼ることが難しいケースも増えています。
また、高齢の配偶者同士で介護する「老老介護」や、認知症の配偶者を介護する「認認介護」なども社会的な課題となっています。
この夏にボーナスを受け取った方や、家計を見直す機会がある方は、その一部を老後資金や介護への備えに充てるなど、今できることから準備を始めてみてはいかがでしょうか。
かつて私も、仕事と認知症の家族の介護の両立に悩み、働き方を見直した経験があります。
突然始まる介護は、家計だけでなくキャリアにも大きな影響を与えます。
介護費用への備えとして知っておきたい制度の一つが「高額介護サービス費」というしくみ。
1カ月の介護サービス自己負担額が上限を超えた場合、超過分が払い戻されるため、青天井で費用がかかるわけではありません。
年金や介護を含めた老後の不安は「見えないこと」から膨らみます。
国の統計データや制度を正しく知り、現役時代から少しずつ知識の備えをしておくことが、自分らしいライフスタイルを守る最強の盾になると実感しています。


