6. 監修者コメント:非課税ラインを守るか、収入を優先するか
「非課税を維持するために働き方を抑えるべきか」というご相談は非常に多く寄せられるテーマの一つです。
非課税世帯であることのメリットは大きいものの、収入を増やして得られる手取りや将来の年金額へのプラスの効果も無視できません。どちらが「正解」というものではなく、ご自身の生活設計や体力・健康状態、働くこと自体への意欲によって選択は変わってきます。
銀行窓口で勤務していたころの経験上、収入を抑えることだけを目的化してしまうと、かえって「働きたいのに抑えている」というストレスにつながるケースも見てきました。非課税を維持する場合も、収入を優先する場合も、まずはご自身やご家族にとって何が大切かを整理したうえで判断することをおすすめします。
7. 「住民税非課税」の条件を確認しておこう
本記事では、年金+パート収入で非課税世帯をキープできるボーダーラインについて詳しく解説しました。
所得要件の計算では、年金・パート収入のそれぞれから控除額を差し引いた金額をもとに非課税に該当するかどうかを判断します。
給与所得控除額は2027年度から引き上げとなるため、2026年中の収入については引き上げ後の控除額「74万円」を基準としてパート収入を調整しましょう。
また、近年では物価の高騰や年金額の目減りを主な要因として、働く高齢者が増加しています。
それに伴い、65歳までの雇用確保や在職老齢年金の基準額緩和をはじめとして、高齢者の柔軟な働き方を叶える環境づくりが進んでいます。
「非課税を維持するために収入を抑えるべきかどうか」は、人によって答えが異なるものです。
非課税世帯ではさまざまな優遇措置や支援制度を利用できる一方で、非課税を維持するためには収入を抑えなければならないケースもあります。
住民税非課税世帯が対象となる具体的な優遇措置についてはこちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう 年金155万・給与110万が分かれ目?
年金に加えてパート収入がある人は、「非課税世帯を対象とする支援内容」と「働いて得られる収入」を比較しながら、ご自身に合った働き方を選択できるとよいでしょう。
さらに、住民税非課税の判定基準や利用できる支援制度は、自治体によって異なります。
収入を調整する場合は、お住まいの市区町村の最新情報を確認しておくのが賢明です。
参考資料
- 総務省「個人住民税」
- 東京都主税局「個人住民税|暮らしと税金」
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
- 名古屋市「令和9年度以降適用される市民税・県民税に関する主な税制改正」
- 厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」
池田 夕華
