約1か月ぶりに、終値ベースで21,000円台を回復

2019年9月6日の日経平均株価の終値は、前日より113円63銭高の21,199円57銭となりました。4日続伸です。4日続伸したのは4月中旬以来、約5か月ぶりです。

9月1日に米国が中国に対する「第4弾」の制裁関税を発動、中国も対抗措置をとったことから、先週は週初から軟調な展開が予想されました。ただし2日は、米市場がレイバーデーの祝日で休場だったこともあって、前週末比で84円18銭安と小幅な値動きでした。商いも薄く、東証1部の売買代金は1兆3299億円と低水準でした。

先週はその後も小幅にもみ合う展開が続きましたが、5日には米中両国が閣僚級の通商協議を10月に再開すると報じられたことや、香港政府が「逃亡犯条例」改正案の撤回を表明したこと、英下院で欧州連合(EU)離脱延期法案が可決されたことなどを受けて投資家の心理が改善。5日の日経平均は約1か月ぶりに終値ベースで21,000円台を回復しました。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。足元の環境は悪くありません。前述したように米中の通商交渉の進展や地政学リスクの後退などにより、投資家にリスクオンの動きが出てきそうです。

6日には8月の米雇用統計が発表されました。結果は、非農業部門の雇用者数は市場予想を下回ったものの、平均時給の前年同月比の伸び率は市場予想を上回りました。市場ではこの結果から利下げへの期待が高まりました。

加えて、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が追加利下げを示唆したことから、米株式市場では買いが広がり、6日のダウ工業株30種平均は26,797ドル46セントと、7月31日以来ほぼ1か月ぶりの高値で終えています。こうしたことから日経平均も週明けから買われる展開になることが期待されます。

重要指標の発表では、9日に国内の4-6月期 四半期実質国内総生産(改定値)、12日には欧州中央銀行(ECB)政策金利発表とドラギ総裁の会見、13日は米8月小売売上高の発表などがあります。

2万円台割れの回避から上値を試す展開に期待

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。週半ばまではローソク足の実体も短く、小幅にもみ合う展開でした。ただし、下値は5日移動平均線に支えられ、堅調さを感じさせました。

5日には大きな陽線となり25日移動平均線を回復。さらに翌6日には窓をあけて上昇し75日移動平均線も回復しました。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。ファンダメンタルズ面ではここ数週、米中貿易摩擦再燃や香港情勢など悪材料が多かったのですが、それでも2万円を割り込むことはありませんでした。逆に、上値を試すような動きが見られました。

足元では8月9日の高値(20,782円)や8月22日の高値(20,731円)を超えると、Wボトム、トリプルボトムのネックライン超えとなります。8月上旬からこのあたりを何度もトライしては跳ね返されていたのですが、ようやく5日にここを超えました。

こういったことからも8月6日の安値(20,110円)を下限にしていた、ここ1カ月ほどの保ち合い相場を上抜けしたと見ることができます。

5日の陽線が大きかったことから、しばらく20,800円付近まで調整する可能性もありますが、ここを割り込むことがなければ今後さらに上値を試す展開になると期待されます。

その場合の上値メドとしては、目先意識されやすい21,500円、7月25日の高値(21,823円)あたりになるでしょう。逆に下値メドとしては、心理的節目となる21,000円、5日線の20,900円あたりになるでしょう。ただしこのあたりまで調整したとしても押し目買いの好機になると考えられます。

下原 一晃