2026年(令和8年)8月から、年金受給者のもとに「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」が順に届きます。年金に関する通知が届くと、あらためて「自分の年金は、老後にいくら受け取れるのだろう」と気になる方も多いのではないでしょうか。

厚生年金で「月15万円以上」を受け取っている人は、実は受給者のほぼ半数です。とはいえ、年金だけで老後の生活費をまかなえるかどうかは、人それぞれ。

今回は、年金の平均受給額や仕組みを確認しましょう。

また、老後資金が足りないと悩む方が今から始めたい対策を、現役IFAである筆者がご紹介します。

※本記事は「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」の記事を引用のもと作成しています。

川勝 隆登
証券会社時代から、これまで多くの方の老後資金のご相談に向き合ってきました。共通して感じるのは、「年金だけで足りるのか」という不安を、口に出せないまま抱えている方が本当に多いということです。実際に具体的なことがわからないため不安になった方も、一緒に計算をすることでその不安が和らいでいったという方もいました。正体がわからないから不安も大きく感じるもの。数字にして現在地を知るだけで、次の一歩はぐっと踏み出しやすくなります。この記事が、その一歩のきっかけになればうれしいです。

1. まずは公的年金の仕組みをおさらい

日本の公的年金は「2階建て」にたとえられます。

1.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられているのが国民年金です。

自営業者、フリーランス、学生、無職の人などが「第1号被保険者」として加入し、全員が一律の保険料を納めます。会社員に扶養されている配偶者(年収130万円未満など)は「第3号被保険者」となり、個別の保険料負担はありません。

1.2 【第2階部分:厚生年金】

厚生年金保険の適用事業所に勤務する会社員や公務員が加入するのが厚生年金です(第2号被保険者)。国民年金に上乗せされる形で加入するため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」の2階建てで年金を受け取ることができます。保険料は給与額に応じて変動し、会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が大きな特徴です。

すべての人の土台となる1階が「国民年金(基礎年金)」、その上に会社員や公務員が上乗せで加入する2階が「厚生年金」です。

国民年金は保険料が定額で受給額の差がつきにくい一方、厚生年金は現役時代の報酬に応じて保険料が変わるため、受給額にも人によって差が出ます。「同じように働いてきたつもりでも、加入していた制度で老後の年金は変わる」というわけですね。年代別の詳しい受給額は、年金の平均受給額を年齢別にまとめた記事もあわせてご覧ください。

2. 厚生年金「月15万円以上の人」は何%?厚生年金・国民年金の平均受給額は月いくらか

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均受給額は以下の通り。

厚生年金の平均月額1/3

厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO&ファイナンス編集部作成

【厚生年金の平均年金月額】

  • 全体 15万289円
  • 男性 16万9967円
  • 女性 11万1413円

※国民年金部分を含む

厚生年金は現役時代の報酬や加入期間で決まるため、働き方によって受給額に幅が出ます。「平均」といっても、性別や働き方で見える景色はずいぶん違うということですね。

では、実際に月15万円以上を受け取っている人はどれくらいいるのでしょう。

同じ厚生労働省の概況によると、国民年金と厚生年金をあわせて受け取っている人のうち、月15万円以上の受給者はおよそ49.8%。受給者のほぼ半数にあたります。

「思ったより多い」と感じるか、「半分は15万円未満なのか」と感じるかは、人それぞれではないでしょうか。裏を返せば、平均的な会社員でも、月15万円前後が一つの目安になるということです。この金額とご自身の生活費を照らして、年金だけで暮らせそうかを考えたいところです。

なお、どのように将来の年金額を計算するのか知りたいという方は「将来もらえる年金額の計算方法」を国民年金と厚生年金で分けて紹介しているので確認してみてください。

老後資金が足りないかも…と思うなら、まずは年金の見込み額を確認し、その上で老後の生活費の赤字や必要なお金を計算して、老後資金の必要総額を洗い出すとよいでしょう。ねんきんネットでも年金見込み額がわかるので、確かめてみるとよいでしょう。

3. 2026年8月から届く「公金受取口座登録の意向確認書」とは?対象者も

2026年(令和8年)8月ごろから、年金受給者に「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書」が、簡易書留で順に送られます。対象は、令和8年4月15日時点で65歳以上(昭和36年4月16日以前生まれ)の年金受給者です(すでに公金受取口座を登録済みの方などは除きます)。

公金受取口座とは、年金の振込口座の情報を、厚生労働省からデジタル庁に提供して登録できるようにする仕組みです。

手続きで注意したいのは、「登録を希望する場合は手続き不要(自動で登録)」、「希望しない場合は45日以内に不同意の申出書を返送する」という点です。つまり、返送しなければ同意したことになります。

年金振込口座の公金受取口座登録の手続きの流れ2/3

年金振込口座の公金受取口座登録の手続きの流れ

出所:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録について【意向確認書に関するご案内】」

また、公的機関が電話やSMS、メールで口座情報を求めることはありません。不審な連絡には十分ご注意ください。届いた書類は放置せず、登録するかどうかを一度確認しておくことが、ここまでみてきた「自分の年金と向き合う」ことの、身近な第一歩になりるでしょう。

なお、いつ届くかは生年月日によって異なります。

日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」3/3

日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」

出所:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」

8月に届くのは昭和36年4月~昭和30年10月生まれの方で、それ以降、令和9年2月頃まで順に届きますので、書類が届いたらきちんと中身を確認しましょう。

川勝 隆登
ここまで、年金の平均受給額や「月15万円以上」の割合、そして2026年8月から届く公金受取口座の意向確認について、みてきました。数字や制度を並べると、少し身構えてしまうかもしれません。ですが、大切なのは「自分の場合はどうか」に置き換えて考えることだと思います。証券会社やファイナンシャルアドバイザーとして多くの方のご相談を受けてきて感じるのは、「年金だけでは足りないかもしれない」と気づいた瞬間が、じつは備えを始める絶好のタイミングだ、ということです。裏を返せば、不安を感じているということは、それだけ将来と真剣に向き合っている証でもあります。実際、40歳代・50歳代で相談に来られる方の多くは、最初は「何から手をつければいいのか分からない」とおっしゃいます。ですが、一つずつ整理していけば、道筋は必ずみえてきます。次の章では、老後資金の不足に備えて実際にどう動けばよいのか、あるご夫婦の面談を例に、具体的な3つの対策をみていきましょう。ご自身の状況に近いところを、探しながら読んでいただけたらと思います。