1. 記事を読むとわかる3つのポイント

  •  おひとりさま(単身世帯)30〜50歳代の貯蓄額は、平均と中央値で大きな差がある
  •  「おひとりさま」が増え、家族のかたちが変わっている
  •  ひとりの老後に抱えがちな「年金と貯蓄の不安」への向き合い方

 

2. 【おひとりさまの貯蓄額】は平均と中央値の差が大きい。変わりゆく「家族のかたち」にどう備えるか

「ひとりで老後を迎えるとき、年金と貯蓄だけで暮らしていけるだろうか」。単身世帯(おひとりさま)が増えるいま、そんな不安を抱く方は少なくありません。

配偶者の年金や資産をあてにできない分、自分の貯蓄をどう準備するかが、老後の安心を大きく左右します。まずは、おひとりさまの貯蓄の実態を、現役のIFAの視点で確認していきましょう。

2.1 おひとりさま30〜50歳代の貯蓄はいくら?平均と中央値の大きな差

金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の単身世帯のデータから、おひとりさまの金融資産保有額をみていきます。

おひとりさま40歳代の貯蓄額2/3

おひとりさま40歳代の貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

おひとりさま50歳代の貯蓄額3/3

おひとりさま50歳代の貯蓄額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:平均501万円/中央値100万円
  • 40歳代:平均859万円/中央値100万円
  • 50歳代:平均999万円/中央値120万円

注目したいのは、平均と中央値の差です。平均は一部の資産が多い人に引き上げられるため、実態に近いのは中央値です。50歳代でも中央値は120万円で、平均の999万円とは大きな開きがあります。

さらに、金融資産を持たない「貯蓄ゼロ」の割合は30歳代32.3%、40歳代32.1%、50歳代35.2%と、いずれもおよそ3人に1人。おひとりさまの貯蓄は二極化が進んでいるといえます。年代別の詳しい貯蓄額は、70歳代の貯蓄額をまとめた記事もあわせて参考になります。

2.2 高齢者世帯の53.2%が「単独世帯」―変わる家族のかたち

こうした備えが重みを増している背景には、家族のかたちそのものの変化もあります。7月に公表された厚生労働省「2025年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯(65歳以上の人などで構成される世帯)の世帯構造は、「単独世帯(ひとり暮らし)」が53.2%と、半数を超えました。次いで「夫婦のみの世帯」が43.1%で、両者を合わせると9割を超えます。

前年(2024年)の単独世帯は52.5%でしたから、ひとり暮らしの高齢者は少しずつ、しかし着実に増えています。かつて多かった、子や孫と同居する三世代の世帯はいまや少数派です。

こうした変化は、老後のお金の考え方にも直結します。同居する家族がいれば、生活費や介護、いざというときの支えを分担できる可能性もありますが、とはいえ家族のかたちが移り変わる現代においては、それらを基本的に自分たちで用意しておくことが大切でしょう。

頼れる家族が身近にいない前提で、現役のうちから計画的に備えておくことが、これまで以上に大切になっていると考えられます。

川勝 隆登
貯蓄は平均だけをみると不安になりがちですが、大切なのは中央値や自分の実際の数字で現状をつかむことです。おひとりさまは頼れる先が限られる分、早めに準備を始めるほど、選べる手段は多くなります。まずは今の貯蓄と年金見込みを把握するところから始めてみてください。