3. 50歳代のおひとりさまが悩んだ、ひとりの老後「守るべきか、増やすべきか」の対策を現役IFAが3つアドバイス

おひとりさまで老後に備える方の中には、「年金と貯蓄だけで、この先の生活を支えられるのか…」という不安を抱える方も多いです。筆者は現役IFAですが日々の面談の中で実際に次のような声を耳にします。

50代のおひとりさま(ご相談者)
年金と貯蓄だけで、この先の生活を支えられるのか不安です。まとまった資金を運用に回したい気持ちと、いざというときのために現金を厚めに持っておきたい気持ちの間で揺れています。独り身なので誰にも相談できず、守りを重視すべきか、積極的に増やすべきか、判断の基準が定まりません。

運用はしていたものの確信が持てず途中で解約してしまったとか、老後を目前とすると今の運用でいいのか悩むというケースも少なくありません。独り身だからこそ誰にも相談できず、判断の基準が定まらないという方も多いです。

IFAの立場からみると、この不安は「誰にも頼れないこと」そのものよりも、「自分の判断基準を持てていないこと」から大きくなりがちです。相場が上がれば増やしたくなり、下がれば守りたくなって、そのつど気持ちが揺れてしまうというのは多くの方がや悩んでいるところです。

3.1 今からできる、ひとりの老後への3つの備えを現役IFAがアドバイス

大切なのは、守るか増やすかを「二択」で考えないことです。年代や状況に応じて役割を変え、目的ごとにお金を分ければ、守りながら増やすことも十分に可能です。今からできることを、三つに整理します。

一つ目は「段階的に育てる」ことです。現役の30歳代・40歳代は複利を生かして増やすことに重点を置き、利益が非課税になる新NISAのような制度も活用しながら、老後が近づいたら定期的な収入として受け取る形へ切り替えるのも一つでしょう。

二つ目は「目的別に分けて持つ」ことです。守りの部分を預貯金や債券などで土台をつくり、値動きの異なる資産を組み合わせて、一つの商品に偏らないようにします。このようなバランス配分は投資では重要です。

三つ目は「暴落時にも待てる準備」をしておくことです。いつ市場の暴落がくるかは誰にもわかりません。あらかじめ分散しておけば、相場が荒れても慌てて売らずに待つという選択肢を持てるでしょう。また、一定金額を積み立てる積立投資であれば、価格が下がったときは少なく買うなどで購入単価を平準化する効果があります。

リスクがあるからこそ、見通しが立ちにくい時期は、無理に全額を運用に回さず、現金を厚めに保つ柔軟さも大切です。焦らず、自分のペースで整えていきましょう。

4. まとめにかえて

宮野 茉莉子
おひとりさまの老後は、頼れる人がいないこと自体よりも、自分の判断基準を持てていないことが不安を大きくします。平均に振り回されず、中央値や自分の実際の数字で現状をつかみ、少額からでも早めに備えを始め、値動きの違う資産に分けておく。この積み重ねが、ひとりの老後を思っているよりずっと心強いものにしてくれます。まずは、いまの貯蓄と年金見込みを書き出してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

川勝 隆登