7. 年金額を増やす「繰下げ受給」と、働きながら受け取る「在職老齢年金」の注意点
年金受給額に不安を感じる場合、受給開始時期を66歳から75歳までの間で遅らせる「繰下げ受給」を検討する方が増えています。
繰下げ受給を利用すれば、1カ月遅らせるごとに0.7%(75歳受給開始で最大84%)年金が増額されるため、将来の生活資金を厚くする有効な手段です。
しかし、年金額が増えるとそれに伴って税金や社会保険料の負担も重くなるため、額面通りの手取り増にはならない側面があることには注意が必要です。
また、長く働きながら年金を受け取る仕組みとして「在職老齢年金」があります。これは、給与(賞与含む)と老齢厚生年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部または全部が支給停止される制度です。
これまで「年金が減らされるなら、働く時間を調整しよう」と考えるシニアの方も多くいらっしゃいました。
しかし、この基準となる「支給停止調整額」が、令和8年度(2026年度)から月額「65万円」に大幅に引き上げられています(2025年度は51万円)。
これにより、現役並みの給与を得ていても年金がカットされにくくなり、意欲のあるシニアが就業調整を気にせず働きやすい環境へと大きく改善されます。
8. まとめ:物価上昇に備えるために
026年度の年金額はプラスの増額改定となったものの、手取り額の実態やシニア世代の家計調査からは、年金収入だけでゆとりある生活を送ることの難しさが浮き彫りになっています。
物価高という避けては通れない波に対して、ただ不安を抱えるのではなく、現状を正しく把握することが第一歩です。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用し、将来自分が受け取れる年金の見込額(手取り額の目安)を確認しましょう。
その上で、健康なうちは長く働き続けることや、社会保険の適用拡大を利用して世帯全体の年金水準を底上げする働き方を検討してみる視点を持てたら良いでdすね。
あわせて、現役時代から少額でも非課税制度などを活用し、インフレに負けない資産づくりを進めていくことが、将来の安心につながる確かな備えとなるでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
渡邉 珠紀

