日本の公的年金は、20歳以上の全国民が加入する国民年金(基礎年金)を1階部分、会社員や公務員が加入する厚生年金を2階部分とする、いわゆる「2階建て」の仕組みになっています。

年金の受給額はよく平均月額で語られますが、実際の受給額は現役時代の働き方によって大きく異なります。

「自分は将来どのくらいの年金を受け取れるのだろう」と考えたことがある方も多いのではないでしょうか。

1. この記事の3つのポイント

  •  ライフコース別のモデルケースで自分の年金受給額を把握
  •  年金の手取り額と老後生活費の差額から本当の目標額を算出
  •  インフレに負けないようNISAやiDeCoで効率よく備える

 

2. 現役時代の働き方で変わる年金額:ライフコース別のモデルケース

年金には個人差があるからこそ、平均だけでは見えないものがあります。

「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と確認する一歩となるよう、ここではライフコースごとの目安額を紹介します。

厚生労働省が2026年1月23日に公表した「多様なライフコースに応じた年金額の例」から見ていきましょう。

本資料では、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類した年金額の概算が提示されています。

和田 直子
同じ「厚生年金中心」でも、加入期間や現役時代の平均収入によって、月額で数万円単位の差が出ているのが分かります。まずはご自身の働き方がどのモデルケースに近いか、当てはめてみるとイメージがつかみやすくなります。

2.1 モデルケース①:厚生年金中心の男性

《年金月額》17万6793円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万9951円
  • 厚生年金:10万6842円

2.2 モデルケース②:国民年金中心の男性

《年金月額》6万3513円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8896円
  • 厚生年金:1万4617円

2.3 モデルケース③:厚生年金中心の女性

《年金月額》13万4640円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万1881円
  • 厚生年金:6万2759円

2.4 モデルケース④:国民年金中心の女性

《年金月額》6万1771円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万3119円
  • 厚生年金:8652円

2.5 モデルケース⑤:第3号被保険者期間が中心の女性

《年金月額》7万8249円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万9016円
  • 厚生年金:9234円

厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、年金月額は大きく変動します。

特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額は大きく変わることが見て取れます。

3. モデルケースを踏まえて、結局いくら準備すればいい?

Q:自分の年金額の目安が見えても、老後資金として「結局いくら貯めればいいのか」が分かりません。何を基準に考えればよいですか?

A:まずは「年金の手取り額」と「老後の実際の生活費」の差額を割り出し、そこに「インフレ対策」を加味して目標額を具体化することです。

漠然と不安を抱く前に、まずは「ねんきん定期便等の見込額(手取り約8割で試算)」と「教育費やローン完済後の生活費」から不足する差額を算出します。さらに、物価上昇による目減り分や不測の事態の予備費を乗せたものが「目指すべき本当の目標額」です。

目標額が数字になれば、今の積立(財形貯蓄や保険)を続けるべきか、NISAやiDeCoなどをどう活用すべきかといった資産運用の優先順位が自然と見えてきます。