「専業主婦世帯と共働き世帯1980年~2018年」(労働政策研究・研修機構)によると、30年前の1989年に930万世帯あった専業主婦世帯は、2018年には600万世帯まで減っています。一方、同時期に共働き世帯は783万世帯から1219万世帯に増加。共働き世帯は専業主婦世帯の2倍にまでなっています。では、専業主婦と共働き女性の満足度はどちらが高いのでしょうか。

専業主婦で現状に満足している人は半数を超える

ソニー生命保険は2019年4月、「女性の活躍に関する意識調査2019」を発表しました。全回答者(1000人)のうち専業主婦(269人)に「現在の生活に満足している」かどうか聞いたところ、「そう思う」(「非常に」と「やや」の合計、以下同)が56%と、半数を上回る人が満足感を得ていることが分かりました。

一方で、「本当は外に働きに行きたい」かという質問に対して「そう思う」は32%。世代別に見ると20代では70%、30代では51%と、若い年代の専業主婦は働きに出たくても出られない様子。特に都会では無職の状況だと保育園に入れるのが非常に難しいもの。働きたくても子供の預け先がないことから、専業主婦でいるケースもあるでしょう。

また「専業主婦は苦労が多いと思う」かという問いに対して、「そう思う」は54%となっていますが、世代別では20代が64%と最も割合が高くなっています。

仕事をしていないことから育児や家事を夫に頼りにくい、ご近所の関係が疎遠で悩みを相談できる人がいない、夫の転勤が頻繁で仕事をしたくてもできない、ママ友とうまく関係が築けないなど悩みはさまざま。また、共働きが増えたことから「裕福な家しか専業主婦になれない」というイメージを持たれるようになり、真剣に悩んでいても本音が言えない、軽く流されるというのも辛いところではないでしょうか。

働く女性の満足度は専業主婦をやや下回る

一方、有職女性(619人)に「現在の生活に満足しているか」どうか聞いたところ、「そう思う」が51%となり、専業主婦と比べると若干低いようです。しかし、子どもがいる場合は「そう思う」が57%という結果。もちろん、働きながら育児や家事をこなすのは大変ですが、仕事と家庭でオンとオフを切り替えながら充実した生活をしていることが想像できます。

また「今後もバリバリとキャリアを積んでいきたい」かという問いに対して、「そう思う」は43%、とくに20代では54%と若年女性の方がキャリア構築に積極的です。共働きが当たり前となった時代で、女性も男性と同等に教育を受けているわけですから、仕事を頑張りたいと思う人が多くなってくるのは納得できます。

一方、「本当は専業主婦になりたい」かどうかの問いに対しては、「そう思う」は37%ですが、20代は53%と割合が大きくなっています。先述のように、20代の54%がバリバリ働きたいと答えていたのに対し、専業主婦になりたいという回答が53%と、キャリアに対する想いが二分化し、葛藤があるようです。

20代は仕事にも不慣れで分からないことが多く、上司や先輩社員に気を使いながら、育児も家庭もと考えるとパンクしそうになることもあるでしょう。また、子供が一番可愛い時期に仕事復帰をするのは「一緒にいたいのに本当に働くべきなのか」と悩みやすくなります。こうしたことから、専業主婦になりたいと考える人もいるのでしょう。

働く女性は不利なことが多い