2019年もサラリーマン1万人アンケートを5月14日から21日にかけて実施しました。サラリーマン1万人アンケートは2010年からスタートして、今回で6回目。その間に勤労者3万人アンケートも行っており、ここから会社員、会社経営者、公務員を抽出して対象者を同じ水準にした2014年のデータを加えると7回の継続的なデータを使って分析をすることができます。

これから数回にわたってその結果から注目できるポイントを紹介することにします。

「金融機関のウェブサイト」が初めて首位に、「SNS」も急拡大

2015年のサラリーマン1万人アンケートから、「お金の情報の入手先」を聞き始めました。その結果をみると、わずか4年間ではありますが、ここにきて大きな変化が出ていることがわかります。

これまでトップを維持してきた「TVの情報番組」が初めてその首位の座を「金融機関のウェブサイト」に譲りました。ちなみに2015年の調査では「TVの情報番組」が15.1%だったのですが、2019年には12.9%に低下し、「金融機関のウェブサイト」は13.5%から15.1%に上昇しています。

また「SNS」の台頭も見逃せません。こちらは2015年の調査ではわずか2.0%の比率に過ぎませんでしたが、2019年には6.2%にまで高まっています。しかも年代別にみると、20代ではその比率は15.1%と非常に高く、この4年間で11.3ポイントも拡大しています。

ちなみに、20代が選ぶ「お金の情報の入手先」は、「TVの情報番組」が12.0%、「金融機関のウェブサイト」が10.5%ですから、この年代のお金の情報の入手先として「SNS」が一気にトップに立ってしまったわけです。

伝統的な媒体の比率が低下

全ての選択肢を4年前と比較してみると、比率を下げているのが、「TVの情報番組」、「TVのコマーシャル」、「雑誌の特集」、「雑誌の広告」、「新聞記事」、「新聞広告」の6媒体です。

一方で比率を増やしたのが「金融機関のウェブサイト」、「SNS」、「知人との会話」、「家族との会話」、「金融機関等開催のセミナー」、「その他」。伝統的な情報提供媒体がその存在感を下げていることがわかります。投資情報の提供、投資教育の伝達媒体を変えざるを得ないことが良くわかる結果といえます。

なお、もう一つ注目したいのは、「特に情報は入手しない」を選んだ比率が毎年低下していることです。2015年には42.4%でしたが、2019年には39.0%となりました。お金の情報を求める人が徐々に増えているとすればうれしい限りです。

お金の情報の入手先(上位4項目)の推移 (単位:%)

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート(2015年、2016年、2018年、2019年)

お金の情報の入手先の変化(2015年と2019年の比較)(単位:%)

出所:フィデリティ退職・投資教育研究所、サラリーマン1万人アンケート(2015年、2019年)

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史