日々の生活の中で、食料品や日用品、各種サービス料金などの値上がりを肌で感じる機会がさらに増えてきました。

実際に、総務省が2026年6月26日に公表した最新の「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)6月分(中旬速報値)」によると、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比で1.6%上昇しています。

シニア世代にとって大きな関心事の一つである「年金」も、物価上昇の影響を受けて、2026年度支給額が前年度から引き上げられました。

増額は嬉しいニュースですが、実際の受給額は現役時代の働き方や収入によって大きく異なります。また、統計を見るとお住まいの地域によって平均受給額に差が出ているのも事実です。

自分は平均と比べてどうなのか、将来いくらもらえるのか、不安や疑問を抱く方も多いでしょう。

そこで今回は、厚生労働省の最新の概況データをもとに、厚生年金と国民年金の平均受給額や、気になる地域ごとの格差について詳しく紐解いていきます。

1. 厚生年金の平均月額は15万289円。男女で5万円以上の差も

会社員や公務員、またパートで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たす人は、老齢厚生年金+老齢基礎年金(国民年金)の併給となります。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)の全受給権者(※2)の平均年金月額は15万289円でした。

ただし、男女差・個人差があり、実際に受け取る金額は一人ひとり違います。

※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介

〈全体〉平均年金月額:15万289円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金部分を含む

1.1 厚生年金受給額の個人差

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

このように、厚生年金は幅広い受給額層に分布しています。同時に平均年金月額の「都道府県差」もあるのです。

2. 【都道府県ランキング】厚生年金の平均月額が1番高いのは神奈川県。トップ3を関東が占める

厚生年金の平均受給額は、都道府県で差があります。では、平均年金月額が「多い都道府県」「少ない都道府県」はどこなのでしょうか。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、ランキング形式で見ていきましょう。

2.1 厚生年金の平均月額が「高い」都道府県【上位5都県】

  1. 神奈川県:17万457円
  2. 千葉県:16万5103円
  3. 東京都:16万3892円
  4. 奈良県:16万2292円
  5. 埼玉県:16万1752円

2.2 厚生年金の平均月額が「低い」都道府県【上位5県】

  1. 青森県:12万8129円
  2. 沖縄県:12万8819円
  3. 宮崎県:12万9224円
  4. 秋田県:12万9503円
  5. 山形県:13万1169円

2.3 都道府県別の老齢年金受給者数及び平均年金月額

  • 北海道:14万1069円
  • 青森県:12万8129円
  • 岩手県:13万2943円
  • 宮城県:14万4920円
  • 秋田県:12万9503円
  • 山形県:13万1169円
  • 福島県:13万6880円
  • 茨城県:15万2963円
  • 栃木県:14万9631円
  • 群馬県:14万8666円
  • 埼玉県:16万1752円
  • 千葉県:16万5103円
  • 東京都:16万3892円
  • 神奈川県:17万457円
  • 新潟県:13万8683円
  • 富山県:14万4644円
  • 石川県:14万1792円
  • 福井県:14万787円
  • 山梨県:14万4665円
  • 長野県:14万4668円
  • 岐阜県:14万9910円
  • 静岡県:15万1960円
  • 愛知県:16万766円
  • 三重県:15万1949円
  • 滋賀県:15万4456円
  • 京都府:15万1483円
  • 大阪府:15万6272円
  • 兵庫県:15万9086円
  • 奈良県:16万2292円
  • 和歌山県:14万5933円
  • 鳥取県:13万3459円
  • 島根県:13万3918円
  • 岡山県:14万6429円
  • 広島県:15万745円
  • 山口県:14万8166円
  • 徳島県:13万4131円
  • 香川県:14万4026円
  • 愛媛県:14万301円
  • 高知県:13万2202円
  • 福岡県:14万5822円
  • 佐賀県:13万4191円
  • 長崎県:13万6825円
  • 熊本県:13万2740円
  • 大分県:13万6507円
  • 宮崎県:12万9224円
  • 鹿児島県:13万3343円
  • 沖縄県:12万8819円
  • その他:13万3788円

都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額2/3

都道府県別老齢年金受給者数及び平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

都道府県別の平均年金月額において1位の神奈川県と47位の青森県では、その差は月額4万円以上になります。年間で考えると50万円を超えるため、地域ごとの格差は小さいとはいえないでしょう。

もちろん、厚生年金の受給額は住んでいる場所で決まるわけではありません。この差は、厚生年金受給額がどのように決まるかに理由があります。

3. 厚生年金の受給額はどう決まる?現役時代の報酬と加入期間で計算…個人差が出やすいしくみ

厚生年金の受給額の計算には、現役時代の報酬(給与や賞与)と、年金加入期間が使われるため、個人差が出やすいしくみです。

厚生年金の報酬比例部分は、以下の計算式の合計で決まります。

  • A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
  • B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数

厚生年金の受給額は、現役時代の報酬と加入期間の長さによって決まります。このしくみが、都道府県ごとの平均年金額の差に直結しています。

都市部では賃金水準が高い傾向があり、また、地域によって自営業や共働き世帯の比率も異なります。

こうした現役時代の働き方の違いが、年金の平均年金月額の差として表れているのです。

4. 国民年金(老齢基礎年金)の全国平均月額は5万9431円

国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、保険料を納付した月数で決まります。そのため、厚生年金に比べて、個人差や男女差、そして地域による格差は大きくありません。

参考として、国民年金(老齢基礎年金)の都道府県別平均年金月額を見てみましょう。

4.1 都道府県別「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額

  • 北海道:5万8435円
  • 青森県:5万7137円
  • 岩手県:6万720円
  • 宮城県:5万9532円
  • 秋田県:5万9147円
  • 山形県:6万827円
  • 福島県:5万9922円
  • 茨城県:5万9395円
  • 栃木県:5万9544円
  • 群馬県:6万564円
  • 埼玉県:5万9007円
  • 千葉県:5万9354円
  • 東京都:5万8313円
  • 神奈川県:5万9342円
  • 新潟県:6万1957円
  • 富山県:6万2989円
  • 石川県:6万1923円
  • 福井県:6万2290円
  • 山梨県:5万9275円
  • 長野県:6万2030円
  • 岐阜県:6万1248円
  • 静岡県:6万1150円
  • 愛知県:6万34円
  • 三重県:6万1403円
  • 滋賀県:6万1172円
  • 京都府:5万8206円
  • 大阪府:5万7122円
  • 兵庫県:5万9138円
  • 奈良県:5万8961円
  • 和歌山県:5万7784円
  • 鳥取県:6万1502円
  • 島根県:6万2287円
  • 岡山県:6万1564円
  • 広島県:6万991円
  • 山口県:6万1120円
  • 徳島県:5万8797円
  • 香川県:6万1718円
  • 愛媛県:5万9792円
  • 高知県:5万7926円
  • 福岡県:5万8300円
  • 佐賀県:6万1084円
  • 長崎県:5万8617円
  • 熊本県:5万9907円
  • 大分県:5万8397円
  • 宮崎県:5万9234円
  • 鹿児島県:5万9659円
  • 沖縄県:5万4217円
  • その他:3万785円

国民年金(老齢基礎年金)の受給額は、5万円から6万円台が中心で、全国平均は5万9431円です。

この金額だけで老後の生活費をまかなうのは、現実的に厳しいと感じる人も多いでしょう。

そのため、厚生年金の上乗せがない自営業者やフリーランスの方などは特に、現役時代から計画的な資産形成を始めることが大切です。

5. まとめ:現状に合わせた無理のないマネープランを

今回は、最新の厚生労働省のデータが示す受給実態をもとに、厚生年金・国民年金の平均受給額や地域ごとに生じる格差について詳しく解説しました。

2026年度は年金額が増額された大局的な動きがある一方で、物価の上昇に伴う生活費の負担を考えると、公的年金だけで全ての支出をまかなうのは簡単ではないかもしれません。

豊かなセカンドライフを送るために、まずはご自身の見込み額を「ねんきん定期便」などで把握し、現状に合わせた無理のないマネープランを検討してみてはいかがでしょうか。

早めに現状を知ることが、将来の安心へとつながる第一歩となります。

参考資料

中井 里穂