2. なぜ「こっそり引き出す」のはNGなのか? 銀行が口座をロックする理由
Aさんのように「親のためのお金だから」と、家族が本人に代わってキャッシュカードで現金を引き出すケースは後を絶ちません。
しかし、この行為には大きなリスクが潜んでいます。なぜ「毎日10万円ずつ下ろす」ような行為はNGなのでしょうか。
2.1 異常な取引として検知されるシステム
短期間での連続した引き出しや、限度額いっぱいの引き出しが続くと、金融機関のシステムはそれを異常な取引として検知します。
近年、高齢者を狙った「特殊詐欺(オレオレ詐欺など)」や「マネーロンダリング」が多発しているため、金融機関はAIなどを活用して厳格なモニタリングを行っています。
Aさんの行動は、まさに詐欺グループが被害者の口座から現金を引き出す手口と酷似していたため、自動的にロックがかけられてしまったのです。
2.2 防犯ロックから法的な「口座凍結」への移行
防犯ロックを解除するには、原則として「名義人本人」の来店と意思確認が必要です。
しかし、すでに認知症が進行している父親を窓口に連れて行くことは難しく、仮に連れて行けたとしても、対応した職員が「ご本人に意思能力(判断能力)がない」と判断すれば、事態はさらに悪化します。
今度は一時的な防犯ロックではなく、本人保護のための法的な「口座凍結」へと移行してしまうからです。
著者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年2月12日更新)
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
元銀行員/一種外務員資格(証券外務員一種)/LIMOマネー編集部金融ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて後方事務や法人営業部門のアシスタント事務を経験。その後、三井住友信託銀行に転職し、資産運用アドバイザー業務に約10年間従事。
15年以上にわたり金融機関に在籍し、現役世代からシニア層、富裕層まで延べ1000名以上の個人顧客に対し、資産運用コンサルティングや承継対策を提案。表彰歴多数。現在は、株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア『LIMO(リーモ)』、専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』にて企画・執筆・編集・監修を幅広く担当。
15年以上の金融機関キャリアに加え、自身も20年以上の投資経験(投資信託・株式・FX・金など)を持つ。金融のプロ・現役投資家・生活者(出産・育児経験)の3つの視点から、年金制度の仕組み、社会保障、NISAや住宅ローン、相続まで分かりやすく解説。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数獲得。【2026年6月29日更新】