2. なぜ「こっそり引き出す」のはNGなのか? 銀行が口座をロックする理由

Aさんのように「親のためのお金だから」と、家族が本人に代わってキャッシュカードで現金を引き出すケースは後を絶ちません。

しかし、この行為には大きなリスクが潜んでいます。なぜ「毎日10万円ずつ下ろす」ような行為はNGなのでしょうか。

2.1 異常な取引として検知されるシステム

短期間での連続した引き出しや、限度額いっぱいの引き出しが続くと、金融機関のシステムはそれを異常な取引として検知します。

近年、高齢者を狙った「特殊詐欺(オレオレ詐欺など)」や「マネーロンダリング」が多発しているため、金融機関はAIなどを活用して厳格なモニタリングを行っています。

Aさんの行動は、まさに詐欺グループが被害者の口座から現金を引き出す手口と酷似していたため、自動的にロックがかけられてしまったのです。

2.2 防犯ロックから法的な「口座凍結」への移行

防犯ロックを解除するには、原則として「名義人本人」の来店と意思確認が必要です。

しかし、すでに認知症が進行している父親を窓口に連れて行くことは難しく、仮に連れて行けたとしても、対応した職員が「ご本人に意思能力(判断能力)がない」と判断すれば、事態はさらに悪化します。

今度は一時的な防犯ロックではなく、本人保護のための法的な「口座凍結」へと移行してしまうからです。