2026年度の公的年金額は前年度から引き上げられ、国民年金の満額は月額7万608円、厚生年金のモデル額は夫婦2人分で月額23万7279円となりました。

ただし、モデル額は一定の収入で40年間働いた会社員と配偶者を想定したものであり、すべての人が同じ金額を受け取れるわけではありません。

鶴田 綾

「年金っていくらもらえるの?」と聞かれても、はっきり答えられる人は意外と少ないですよね。老後のお金は「まだ先の話」と後回しにされがちなテーマだと感じます。でも、モデル額だけを見て安心してしまうのは少し早いかもしれません。実際の受給額は年齢や男女、働き方によってかなり差がありますし、額面と手取りが違う点も見落とされがちです。まずは同世代の実際の受給額をチェックして、ご自身の将来設計に役立ててみましょう。

また、年金から税金や社会保険料が差し引かれる場合があるため、額面と実際の振込額にも差が生じます。

本記事では、2026年度の年金額や通知書類の見方、60歳代から80歳代までの平均年金月額について詳しく見ていきます。

1. この記事の3つのポイント

  •  2026年度の年金額は国民年金満額が月7万608円、厚生年金モデル額(夫婦2人分)が月23万7279円に引き上げ
  •  厚生年金の平均月額は65〜69歳で14万円台〜15万円台、国民年金は6万円前後で推移
  •  「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の見込み額を確認しよう

2. 2026年度の年金額は前年度から引き上げ

公的年金の年金額は、賃金や物価の変動を踏まえて毎年度改定されます。

2026年度は、前年度と比べて国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられます。

新しい年金額は2026年4月分から適用され、4月・5月分が6月15日にまとめて支給されています。

2.1 2026年度の「国民年金満額と厚生年金」のモデル額

令和8年4月分(6月15日(月曜)支払分)からの年金額1/2

令和8年4月分(6月15日(月曜)支払分)からの年金額

出所:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」

2026年度の国民年金と厚生年金の年金額例

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分)(※1):7万608円
    厚生年金:(夫婦2人分)(※2):23万7279円

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額7万408円(対前年度比+1300円)
※2 厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

2.2 6月に送られる「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」とは

すでに年金を受給している人には、毎年6月に日本年金機構から「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」が届きます。年金額改定通知書にはその年度の4月分以降に受け取る年金額が、年金振込通知書には税金・社会保険料の内訳と実際の手取り額が記載されています。

「年金振込通知書」2/2

「年金振込通知書」

出所:日本年金機構「年金振込通知書」

老齢年金から天引きされる税や社会保険料

  • 介護保険料
  • 公的医療保険(国民健康保険・後期高齢者医療制度)の保険料
  • 個人住民税および森林環境税
  • 所得税および復興特別所得税

公的年金からも、現役時代と同じように介護保険料や医療保険料、住民税、所得税などが特別徴収される場合があります()。

「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」に表示される年金見込額は額面であり、実際の振込額はそこから税金や社会保険料を差し引いた金額になる点に注意が必要です。

※ただし、年金の受給額が年額18万円未満の場合など、年金からの天引きとならないケースもあります。

ここで、額面と手取りの差をイメージしやすいよう、簡単なモデルケースで考えてみましょう。

たとえば、老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせた額面が月15万円のCさん(68歳)の場合、介護保険料や国民健康保険料、所得税や住民税などを合計しておよそ1万5000円前後が差し引かれると仮定すると、実際に口座へ振り込まれる手取り額は13万5000円程度になる計算です。

天引きされる金額は所得や自治体、加入している医療保険の種類によって一人ひとり異なるため、あくまで一例ですが、「額面と手取りにはこれくらいの差が出ることがある」というイメージを持っておくと、実際に年金振込通知書を受け取ったときに慌てずに済むでしょう。

鶴田 綾

モデル額だけを見て「思ったより多い・少ない」と一喜一憂するのはまだ早いです。実際の受給額は、厚生年金への加入期間や現役時代の収入によって大きく変わりますし、いま見ていただいたシミュレーションのように、額面からさらに天引きされる分もあります。次の章で紹介する年齢別のデータもあわせてチェックして、ご自身に近いケースをイメージしてみてくださいね。

3. 【年齢別】60歳代〜80歳代の厚生年金・国民年金はいくら?

ここからは、現在のシニア世代が実際に受け取っている老齢年金の水準を、1歳刻みで確認します。

なお、ここで紹介する厚生年金額には、国民年金部分が含まれています。

3.1 60歳代の平均年金月額

【厚生年金】

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

【国民年金】

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

65歳から69歳までの平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金が6万円台です。

64歳までの受給者には、老齢年金の繰上げ受給(※1)を選んだ人や、特別支給の老齢厚生年金(※2)の報酬比例部分のみを受け取っている人が含まれます。そのため、厚生年金と国民年金のいずれも、平均月額が65歳以降より低くなっています。

※1 繰上げ受給:老齢年金を60歳~64歳までで前倒しして受け取ること。繰上げた月数に応じて年金が減額(0.4%/月)され、一度決まった減額率は生涯変わりません。
※2 特別支給の老齢厚生年金:昭和60年の法改正により厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた際、受給開始年齢を段階的に引き上げるために設けられた制度。年齢など一定条件を満たす場合に受け取ることができます。

3.2 70歳代の平均年金月額

【厚生年金】

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

【国民年金】

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円

70歳代の平均年金月額は、厚生年金が14万円台から15万円台、国民年金が5万円台から6万円台となっています。

3.3 80歳代の平均年金月額

【厚生年金】

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

【国民年金】

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

80歳代の平均受給額は、厚生年金が15万円台から16万円台、国民年金が5万7000円台から5万9000円台です。ただし、これらは各年齢における平均額であり、実際に受け取る年金額は現役時代の働き方や収入、保険料の納付状況などによって異なります。

鶴田 綾

「年齢が上がるほど単純に年金が減っている」わけではなく、60〜64歳の平均額が低めなのは繰上げ受給や特別支給を受け取っている人が含まれているためです。「同じ年代の人はいくらもらっているか」を知ることは、将来の家計を考えるうえで一つの目安になりますよ。