初夏の心地よい風が吹き抜ける季節となり、ご家庭では夏のボーナスや今後の生活設計に目を向ける時期ではないでしょうか。
近年は物価高の影響もあり、ご自身の資産管理や運用のあり方を見直す方が増えています。
特に60代を迎えると、これからのセカンドライフを豊かに過ごすために、周囲の世帯がどのような資産状況にあるのかが気になるところですよね。
私はかつて証券会社に勤務しており、ファイナンシャルアドバイザーとして主に富裕層のお客様に向けて、ライフプランに寄り添った資産運用をご提案してまいりました。
その経験からも、資産をしっかりと築いている方々が「どのような運用を行っているのか」を知ることは、ご自身の資産形成において非常に大きなヒントになると実感しています。
この記事では、最新の調査データを基に、日本の富裕層の実態や世帯年収ごとの金融資産の内訳を詳しく紐解いていきます。
これからの資産との付き合い方を探る、一つのヒントとしてぜひお役立てください。
1. 日本の「富裕層」はどこから?資産の定義と最新の割合
「富裕層」と呼ばれる資産家たちは、どのような世帯なのでしょうか。
野村総合研究所が2025年2月13日に公表したニュースリリースでは、純金融資産保有額(※)に応じて世帯を以下の5つの層に分類しています。
※純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの
1.1 5つの階層で見る!日本の世帯における保有資産規模と世帯数のリアル

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計」
- マス層(3000万円未満)
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満)
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満)
- 富裕層(1億円以上5億円未満)
- 超富裕層(5億円以上)
ここでは純金融資産1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」、5億円以上の世帯と「超富裕層」と定義し、世帯数や保有資産の規模についての推計データが公表されています。
このうち「富裕層」と「超富裕層」を合わせた世帯数は165万3000世帯に達し、全世帯の約3%を占めることが分かりました。
この合計世帯数は、推計が開始された2005年以降で最多です。
また、富裕層・超富裕層それぞれの世帯数も2013年以降、継続的に増加傾向となっています。
2. 「富裕層+超富裕層」の資産額と世帯数の推移は増加傾向に?
「超富裕層」と「富裕層」を合わせた、純金融資産1億円以上を持つ資産家たちについて、世帯数や資産総額の推移をみていきます。
- 2005年:86万5000世帯・213兆円
- 2007年:90万3000世帯・254兆円
- 2009年:84万5000世帯・195兆円
- 2011年:81万世帯・188兆円
- 2013年:100万7000世帯・241兆円
- 2015年:121万7000世帯・272兆円
- 2017年:126万7000世帯・299兆円
- 2019年:132万7000世帯・333兆円
- 2021年:148万5000世帯・364兆円
- 2023年:165万3000世帯・469兆円
富裕層と超富裕層の世帯数と資産総額は、世界金融危機や東日本大震災などの影響を受けて一時的に落ち込んだものの、長期的に見ると増加傾向にあります。
とくに2021年から2023年にかけての伸びは顕著です。この背景には、株価上昇や円安による資産価値の増大などがあったことが、同調査レポートでは指摘されています。
2.1 【一目でわかる一覧表】各階層の世帯数と純金融資産保有額のバランス
- 超富裕層(5億円以上):11万8000世帯・135兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):153万5000世帯・334兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):403万9000世帯・333兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):576万5000世帯・282兆円
- マス層(3000万円未満):4424万7000世帯・711兆円
なお、富裕層と超富裕層が保有する資産の合計は、前回調査より約3割ほど増加し469兆円に。全世帯の保有資産額の26.1%が、この2つの層に集中していることが分かります。
3. 現代の新しい資産家たち!「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」とは
今回の調査では「いつの間にか富裕層」「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる、新しいタイプの富裕層たちの出現が指摘されています。
3.1 相続なしで到達?自力で資産を築く「新しい富裕層」の特徴
まず、「いつの間にか富裕層」は、株式投資などを通じて富裕層の仲間入りをした、40歳代後半から50歳代の一般の会社員を中心とする層です。
高い金融リテラシーを持つ一方で、富裕層向けの専門的な金融商品や高度な資産管理には不慣れな面もあるとされます。
そして「スーパーパワーファミリー」は、都市部に住む年収3000万円を超える共働き世帯に代表される層です。
20歳~30歳代の間は、教育費や住宅ローンなどの支払いに苦労するも、昇格・昇給により40歳前後から資産が急速に増加する傾向があり、高収入を背景に50歳前後で富裕層に到達する可能性が高いとされる層です。
この「新しい富裕層」に共通するのは、相続や親の資産に頼らずとも、自分自身のキャリア形成や金融知識によって資産を築いている点と言えるでしょう。
4. 年収によってどう違う?気になる金融商品の種類別内訳をチェック
2025年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果から、世帯年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。
4.1 我が家と比較!世帯年収別にみる種類別の金融商品保有額
全体の金融資産保有額はどうなっている?
全国: 1940万円
- 収入はない: 634万円
- 300万円未満: 858万円
- 300~500万円未満: 1431万円
- 500~750万円未満: 1755万円
- 750~1000万円未満: 2222万円
- 1000~1200万円未満: 2725万円
- 1200万円以上: 5635万円
- 無回答: -
安心の土台となる「預貯金」の保有額
全国: 745万円
- 収入はない: 385万円
- 300万円未満: 368万円
- 300~500万円未満: 631万円
- 500~750万円未満: 693万円
- 750~1000万円未満: 908万円
- 1000~1200万円未満: 1028万円
- 1200万円以上: 1649万円
- 無回答: -
安定性を重視する「債券」の保有額
全国: 78万円
- 収入はない: 7万円
- 300万円未満: 36万円
- 300~500万円未満: 54万円
- 500~750万円未満: 58万円
- 750~1000万円未満: 67万円
- 1000~1200万円未満: 91万円
- 1200万円以上: 343万円
- 無回答: -
積極的な運用を目指す「株式」の保有額
全国: 433万円
- 収入はない: 33万円
- 300万円未満: 191万円
- 300~500万円未満: 235万円
- 500~750万円未満: 365万円
- 750~1000万円未満: 434万円
- 1000~1200万円未満: 572万円
- 1200万円以上: 1792万円
- 無回答: -
分散投資の定番「投資信託」の保有額
全国: 216万円
- 収入はない: 153万円
- 300万円未満: 79万円
- 300~500万円未満: 167万円
- 500~750万円未満: 189万円
- 750~1000万円未満: 238万円
- 1000~1200万円未満: 292万円
- 1200万円以上: 682万円
- 無回答: -
気になる「債券・株式・投資信託の合計額」と全体に占める割合
全国: 37.5%
- 収入はない: 193万円(30.4%)
- 300万円未満:306万円(35.7%)
- 300~500万円未満:456万円(31.9%)
- 500~750万円未満: 612万円(34.9%)
- 750~1000万円未満:739万円(33.3%)
- 1000~1200万円未満: 955万円(35.0%)
- 1200万円以上: 2,817万円(50.0%)
- 無回答: -
データを見ると「債券・株式・投資信託」への投資額そのものは、年収とある程度相関しています。
金融資産保有額全体に占める割合を見ると、年収が1200万円未満の層ではおおむね30%台となっています。
それにより、資産運用が一部の富裕層だけのものではなく、標準的な年収の世帯にも普及している様子がうかがえます。
一方で、年収が1200万円以上の層は、金融資産保有額全体に占める「債券・株式・投資信託」の割合が50.0%となっており、資産運用を活用した資産形成に積極的に取り組んでいる様子が確認できました。
インフレが進む今、預貯金だけに頼らず、家計に合った無理のない投資で資産を育てることも選択肢の1つです。
ライフスタイルや保有している資産全体のバランスも踏まえたうえで、ご自身のリスク許容度に合った資産形成の方法を選んでいくことが大切になります。
5. まとめ
今回は、日本の富裕層の割合や世帯年収別の金融資産内訳について詳しく見てきました。
富裕層や超富裕層の世帯数は近年増加傾向にあり、自力で資産を築く新しいタイプの富裕層も登場しています。
一方で、一般的な年収の世帯でも預貯金だけに頼らず、投資信託などを取り入れた資産運用が着実に浸透している様子がうかがえました。
60代以降のセカンドライフにおいては、周囲の状況を参考にしつつも、ご自身のライフプランやリスク許容度に見合った選択をすることが大切です。
インフレに備えるための運用方法も多様化していますので、無理のない範囲で心地よい資産管理の形を見つけてみてはいかがでしょうか。
これからの日々をより安心して豊かに過ごすための、確かな一歩を踏み出していきましょう。

