6. まとめ:平均値や「非課税」の言葉に惑わされず、自身の収支を正確に把握しよう
1歳刻みの細かなデータから見えてくるのは、同じ年代であっても受給額に大きな幅があり、年齢を重ねるごとに年金以外の収入(給与など)が細っていくシビアな現実です。
「住民税非課税世帯」になると、介護保険料や医療費の自己負担上限が下がるなどの手厚い軽減措置を受けられます。しかし、それは裏を返せば「日々の生活費のやりくりに余裕がない所得水準」に該当したという事実でもあります。
現状を正しく把握するために、以下の3点を実践してみてください。
- 手元に届いた「年金振込通知書」の『控除後振込額(実際の手取り額)』を確認する(ニュース等で報道される額面ではなく、現実に使える予算枠を知るため)
- 天引きされている「介護保険料」や「国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)」の金額を昨年のものと比較する(年金が増えても、保険料が上がって手取りが目減りしていないかチェックするため)
- 改定後の手取り額に合わせて、7月以降の「基本生活費」の予算を見直す(支出を収入の枠内に収める、家計管理の基本原則を徹底するため)
マクロな統計データや国の制度は、あくまで参考指標にすぎません。ご自身のリアルな手取り額を直視し、その範囲内で計画的に生活を営むことこそが、インフレ時代を乗り切る防衛策となるでしょう。
7. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点
先月6月は年金改定が反映されると同時に、『年金額改定通知書』などが届き、自身のリアルな収入を突きつけられる時期でした。
ここで、額面の引き上げ率に対して手取りが伸びていないと戸惑う人もいるでしょう。年金からは介護保険料や住民税などが天引きされるため、額面と手取りの乖離は発生します。
また、記事にある『非課税世帯の増加』というデータは、単に年齢が上がり年金以外の収入(給与等)が途絶えることで、自然と課税ラインを下回る世帯が増える構造を示しています。
非課税になると高額療養費などの負担上限額は下がりますが、それは日々の生活費にゆとりがあることとはイコールではありません。
だからこそ、平均月額や手厚い軽減制度に安堵するのではなく、通知書に記載された『控除後の振込額』を直視し、それに合わせた支出のダウンサイジングを図ることが極めて重要です。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」(第131表)
- LIMO「国民年金・厚生年金「2026年6月15日から増えます」60歳から89歳まで平均年金月額【年金一覧表】をみる!」
長井 祐人